山辺ぶどうの未来にむけて、栽培体験会初開催

JA松本ハイランド
農業体験をする就農希望の参加者
農業体験をする就農希望の参加者

全国的なぶどうの銘柄産地として知られる松本市山辺地区で5月9日、新規就農を志す人を対象とした「2026山辺ぶどう体験会」が初開催された。JA松本ハイランド山辺果樹部会が主催し、実際の農作業を通じて産地と農業の魅力を知ってもらうことで、後継者不足が課題となっている山辺ぶどうの維持・継承を目指す。
初回となったこの日は、就農を希望する約10人が参加。JA山辺支所でのオリエンテーションの後、実際にほ場へ移動し農業体験が行われた。
本体験会は単発のイベントではなく5月のオリエンテーションから始まり、ジベレリン処理や摘粒、収穫、そして8月の剪定まで、年間を通じて計12回の実習を予定している。デラウェアや大粒種といった主要品種の栽培サイクルを、旬の時期に合わせて体験できるのが大きな特徴だ。
開催の背景には、産地側の危機感と就農希望者のニーズがある。山辺果樹部会の中川振興部長は「都心での就農相談会に参加した際、就農を悩む方が実際の農業体験を強く求めていることを実感した。就農を決断するための後押しとなる取り組みにしたい」と意気込む。
参加者は、「これまで相談会などに参加しても実際の農作業を経験したことが無く、イメージを膨らませるのが難しかった。今回の企画は、就農に向けて感じていた高いハードルを、低いステップに変えてくれるような安心感がある。この機会を活かして将来を考えたい」と期待を寄せた。
同地区は、昼夜の寒暖差を活かした高品質なぶどう作りで知られるが、近年は生産者の高齢化や耕作放棄地の増加が深刻な問題となっている。植木宏山辺果樹部会長は「これまで産地として培ってきた成功も失敗もすべてを次世代へ伝えていきたい」と新規就農者の受け入れに意欲を見せる。
同JAでは山辺ぶどうの産地を維持・継承するため、若手生産者を中心とした「山辺樹園地継承プロジェクト」が3月より本格的に始動しており、耕作放棄地の再生と新規就農者の支援に取り組んでいる。今回の取り組みと併せて伝統ある「山辺ぶどう」を守るための大きな一歩となることが期待される。

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