トルコギキョウ作付け講習会

JA信州諏訪
土壌還元消毒試験の中間報告を行う原田さん
土壌還元消毒試験の中間報告を行う原田さん

JA信州諏訪営農部は12月4日、茅野市のJA玉川研修センターでトルコギキョウ作付け講習会を開いた。生産者・職員ら34人が参加。茅野市でトルコギキョウを生産する原田邦彦さん(89)が、3・4月に定植する春作トルコギキョウの立枯病対策として土壌還元消毒試験を行い、土壌内のフザリウムがほぼ検出限界以下となったことを報告した。高温対策や土壌改良におすすめの資材も共有。2026年度以降の高品質・安定生産に役立てていく。
立枯病は、土壌中に存在するフザリウム・オキシスポラムやフザリウム・ソラニというカビによって引き起こされる。植物の根に侵入して水分供給を妨げることで、萎れ・枯死が発生し品質が低下、収穫量も減少する。管内でも大きな課題となっている深刻な病害だ。
原田さんは、2024年3・4月に定植したハウスに立枯病などの被害が約30~40パーセント発生し、翌25年にはほぼ100%の罹病となった。クロールピクリン剤での土壌消毒も行ったが、効果が劣り、防除が不可能と判断。日本アルコール産業株式会社(東京都)の研修がきっかけで、同社が販売する土壌還元消毒資材「エコロジアール」を施用することにした。
「エコロジアール」は、主成分がアルコールの液状資材。水溶性のため深度60センチ以上の深部まで還元消毒が可能だ。
土壌還元消毒は、微生物のエサとなる米ぬかやふすまなどの有機質類を施用後、十分にかん水し、被覆材で密閉。微生物が急激に繁殖して酸素を奪い「土壌還元層」をつくり、「病原菌」や「線虫類」を滅菌させる。「エコロジアール」は、40~50センチの下層あたりまで存在する「フザリウム菌」の滅菌や有機質類利用による「青カビ根腐病」の防除への効果が期待される。
原田さんの試験ハウスは2棟計5.4アール。2025年8月中にロータリーで耕うん・整地し、かん水。ハウス内8カ所の地下0~30センチ地点・地下30~60センチ地点の土壌採取をした後、米ぬか450キロを施用した。かん水工事・試用運転を行い、被覆材を被せた。9月初旬、事前かん水後、「エコロジアール」540リットルを105倍に希釈し、7時間30分ほどかけて散布。その後、事後かん水した。1カ月後、被覆材を除去した。
10月初旬、再度土壌採取をした結果、処理前10地点で検出されたフザリウムが1地点を除いて検出限界以下となった。
原田さんは「エコロジアールをいかにほ場全体にムラなく散布するかが大事だと感じている。より品質の良いトルコギキョウが収穫できるよう、3・4月の定植の際、今回の試験結果がわかると思うので、慎重に確認したい」と話した。
また、JA全農長野の担当者を講師に招き、夏場の高温対策として換気や遮光、冷房の使用の重要性を確認。メーカー担当者が土壌改良剤や土壌消毒剤の効果を高める資材を紹介した。

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