JAみなみ信州は10月23日、飯田市の同JA調理室で柿皮を添加した飼料を食べた試験牛の試食会を開いた。柿皮をエサに活用する試験は同JAのグループ会社(株)夢ファームみなみ信州で実施しており、市田柿加工の際に大量廃棄される柿の皮の有効活用し、環境にやさしい循環型農業により同JA管内の肉牛生産の付加価値を高めることを目的としている。この日は同JA役職員、飯田市農業課職員ら84人が試食しアンケートに答えた。今回のアンケート結果を参考に、今後さらに飼料への実用化に向け研究を進める。
南信州特産の「市田柿」生産時に発生する大量の柿皮は産業廃棄物に分類され、多額の廃棄費用がかかっている。また畜産においては牛のげっぷや家畜の排泄物由来で発生するメタンの量は日本全体の温室効果ガスのうち1%程度とされているが、環境改善のための研究が進められている。研究では柿皮に含まれるポリフェノールの一種であるタンニンがメタンの発生を減少させるとして注目。2021年から(株)夢ファームみなみ信州の牛群で肥育牛への柿皮パウダーの長期供給試験などを行ってきた。今回の試食会では試験区A、B2種のサイコロ状の肉を焼き実食。やわらかさや多汁性、うま味や香りなどそれぞれの項目で優れている方を選び評価した。
試食した同JA営農部営農企画課の矢澤恵理課長補佐は「どちらもおいしかったが、肉のやわらかさで一番違いを感じた」と話した。
同JA営農部畜産課の伊藤正洋課長は「大勢の方の協力をいただけた。今回の結果を踏まえ、消費者に好まれる肉質と環境に配慮した飼料管理の研究をさらに進めていきたい」と話した。