JA信州諏訪の組合員らで構成する諏訪市の有賀林野株式会社が開発を進める、クロモジエッセンシャルを使った同社初の化粧水「信州諏訪クロモジ 美の追求」(仮称)の試作品が10月6日、完成した。同社が管理する山林に自生するクロモジからオイルを抽出し、ローズとブレンド。穏やかさと華やかさを併せ持つ香りで、小泉吉彦社長(69)は「肌悩みを持つ人に使ってほしい」とPRする。地域住民に配布し、アンケートへの回答を依頼。意見を反映し、来春の商品化を目指す。
同社は、地域の山林維持・所得向上策として、山の恵みを活用した製品づくりを行っている。クロモジはこれまで、森林整備のため刈り取りを行い、除去していた。しかし、定期的な管理で枝葉が充実し、主要成分のリナロールを中心に、リラックス・睡眠改善・抗菌・抗酸化・抗炎症・呼吸器サポートといった多彩な効果が期待されていることから、活用方法を模索。第1弾のクロモジ茶「信州諏訪里山の恵 有賀の黒もじ茶」は2020年から販売を始めた。すっきりとした飲み心地、ハーブティーのような森の香りが特徴で、年々ファンが増えて毎年完売の人気ぶりだ。
今回は、活用第2弾としてオイルの抽出に挑戦。5月上旬に、社員11人で新芽100キロを収穫した。14日間乾燥させた後、2回に分けて粉砕・袋詰め、蒸留し、オイル計253ミリリットルを抽出。管内の企業がローズとブレンドさせ、小瓶(1本5ミリリットル入り)計20本分の化粧水ができあがった。
アンケートへの回答はJA信州諏訪ほか取引先や関係の深い先を中心に依頼。開封直後の香りやクロモジの配合量、その他意見を記入してもらい、回収する。
小泉社長は「化粧品づくりは初めてだが、クオリティの高い製品ができ、満足している。クロモジの香りは爽やかで心地よく、森林浴している気分になれる。アンケートの声を大切にしながらその良さを存分に生かした製品に仕上げ、ぜひ多くの人に愛用してもらいたい」と話している。
クロモジ茶は、海外での販路拡大を狙う。将来的にはアカマツやヒノキ、スギなどの商品化も目指していく考えだ。