JA信州うえだ上田東地区事業部では、農地保全、景観維持、地域活動支援といった地域づくり活動の一環として、管内の日本の棚田百選に認定されている「稲倉の棚田」の保全委員会に協力し、草刈りなど棚田の保全に貢献している。
保全委員会は、JA組合員を中心とした役員で構成されており、長年米作りをしている地域組合員もメンバー。JAとしては、生産資材の供給や棚田の草刈り等の保全活動にも積極的に出役している。
棚田保全には、現状を維持する多くの手と、未来に残していくための次世代の担い手が必要であり、地元住民・地元企業などの共感と協力が不可欠。保全委員会では、多くの関係者と連携した活動をすすめる一方で、さらに都市住民にも共感を得てともに活動してもらおうと、さまざまな取り組みを行っている。棚田オーナー制度をはじめ、収穫した酒米を地元酒蔵が仕込むオリジナルの酒作り、農閑期の棚田の有効活用として開催する棚田キャンプやノルディックウォーキングイベント、棚田に設置された木製の舞台を活用した吹奏楽の演奏会、撮影会、句会など、日頃農業と関わりが薄い人々の棚田への関心を高める機会をつくっている。
また、近年は秋の獣害が大きくなっているなかで、獣害が鎮まることを祈念し稲の豊作を祈る行事として、2020年から「ししおどし祭り」を開催。地域の新しい行事にしようと、一般参加も募っており、県内外からの参加者は年々増えている。
今年は8月23日に行い、過去最多のおよそ350人が参加。たいまつを手に“しし神よ、帰りませ、田の神よ、守りませ”という掛け声とともに五穀豊穣と獣害低減を祈願した。谷間に寄り添うよう穏やかに連なる水田にロウソクの列が灯り、その間を人々がたいまつを持って練り歩く光景に、「とても幻想的できれい」と、参加者を魅了した。
同地区事業部小島孝之部長は、「多くの方々に棚田を知ってもらい、維持に協力をいただくことはもちろん、農業や食にも理解と関心を持ってもらえたら」と話した。