令和7年度 3地域(上田、佐久、松本)合同作物研修会を開催

JA信州うえだ
説明する荒井副部会長
説明する荒井副部会長

上田農業農村支援センターとJA信州うえだ米穀担い手部会は8月8日、「令和7年度3地域(上田、佐久、松本)合同作物研修会」を上田市で開き、各地域からの生産者をはじめ支援センター・JA職員など、合わせて約50名が参加した。
この合同研修は、コロナ禍での中止もあったが、20年前から各地域持ち回りで実施しており、研修や交流を通して新たな知識の吸収と水稲若手農業者の育成につなげることが目的。今回は、省力化・効率化技術について実証実験圃場視察と研修、意見交換を行った。
実証実験圃場は、JA信州うえだ米穀担い手部会の荒井信博副部会長が作付ける上田市下室賀の水田。水稲湛水直播栽培向けにコーティングした種子「リゾケアXL」を利用した直播栽培に取り組んでおり、さらにJA全農長野の水稲直播専用肥料開発に向けた基肥試験も実施している。
出穂を控えた水田を前に、まず荒井副部会長がこれまでの栽培作業等を説明し、メーカースタッフからは「リゾケアXL」の特徴と省力化の効果を、JA全農長野職員からは隣接する水田に施している慣行の移植向け全量基肥料(JA全農長野の「わたしの肥料」。荒井氏の土に合わせたオリジナルバージョン)との成分・肥効の違い、同支援センター職員からは生育状況について説明した。参加者は稲に近づき、葉色を比べたり株元を覗き込みながら生育状況を確かめていた。
水稲湛水直播栽培に対し荒井副部会長は、「コストは育苗並みにかかってしまうが、省力化は実感している。来年以降も継続して取り組んでいきたい」と、意欲を見せていた。
研修では、さらに試験内容の詳細を掘り下げたほか、温暖化(高温)に対するJA信州うえだの取り組みなども紹介。自由討議では、参加者から「米づくりの新技術として省力化に役立つ研修になった」「導入コスト等も盛り込んだ検証をすすめていくと、より具体的な検討につなげられるのでは」など、たくさんの意見を交わした。
JA信州うえだ米穀担い手部会の小林圭一部会長は、「今回の研修を作業の省力化など農家経営に役立ててもらい、県内農業の維持や担い手の増加につながってほしい」と、話した。

 

【現地実証】
リゾケア®による全量基肥直播栽培の技術確立が目標。慣行の移植向け全量基肥料(荒井氏わたしの肥料、面積30アール)および全農による試作肥料(直播水稲一発肥料、面積15アール)における、生育状況・収量等の調査により技術確立を目指す。わたしの肥料に比べ、チッソ成分は全て緩効性肥料由来で2割近く少ない配合量、ケイ酸もゆっくりした肥効。いずれも播種同時施肥。生育状況は、開催日現在で直播水稲一発肥料使用の試験区で茎数不足が顕著に見られる。

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