JA上伊那果樹部会は7月8日、2025年度のJA上伊那果実市場販売推進会議を伊那市のJA本所で開いた。25年度の生産状況や出荷目標、市場の販売現場の状況などを説明し、市場と産地で情報を共有した。同部会はスローガンに「果樹販売額18億円!継続的な果樹産地への再建」を掲げている。
管内では674戸が約320ヘクタールで果樹を栽培。同JAでは、新規生産者が参入しやすい環境を整えるために園芸品目の団地化を進め、全国的に栽培面積が減少している梨などの品目について、来年以降の栽培面積の拡大を見込んでいる。上伊那地域で力を入れているリンゴ高密植栽培は、リンゴ全体の栽培面積の3分の1以上を占め、収量性と作業効率の向上につながっている。
今年は、春先の降水量が少なく凍霜害の影響もなかったことで、リンゴの着果量は平年よりもやや多く小玉傾向だ。園地によって生育に差がある品目もあるが、大きな病害虫の被害はなく順調な状況だ。
この日は、各専門部役員を中心とする生産者や7市場の担当者、輸送会社、同JA役職員ら57人が出席した。JA担当職員は上伊那産果実の安定供給や出荷目標達成に向けて、近年の気温上昇に伴う過熟によるロス果への対策や、出荷規格の見直しなどに取り組むこと、生産者による試食宣伝会で消費者との交流を図り上伊那産果実をPRしていくことを説明した。
市場担当者は「上伊那産は品質が高く、食味が良いことが強み。適期収穫の徹底による出荷量の増加をお願いしたい」などと要望し、「市場でも高温対策として保冷庫の増設や、出荷物が滞留しないようにすることで品質を低下させないようにしている」と説明した。
生産者からは「気候が変わる中、出荷規格の目あわせにも立ち会ってほしい」「消費者から求められている品種を共有してほしい」と意見を交わした。
同部会の鈴木博士部会長は「『おいしい果実を届けたい』という想いは、生産者も市場も輸送会社も一緒。昨年は高温やカメムシなど厳しい生産状況だったが、今年も高い生産意欲を持って取り組んでいこう」と呼びかけた。