上伊那農政対策委員会は6月2日、第29回総会を伊那市のJA上伊那本所で開いた。2024年度事業報告や25年度事業計画など、全3議案が可決承認された。
上伊那農政対策委員会は、同JAや農業関係機関の代表者で構成する。農業政策に関する要求実現のために結集し、地域連帯など視野の広い農業や農村社会の健全なる発展を目的とする。この日は、委員110人が出席した。
24年度は、万全な営農継続と食料安全保障の強化などに向けて農政運動を実施。上伊那地域の農業が抱える課題を国政に届けるため、地元議員との農政懇談会を開き「2025年産以降の米政策」や「5年水張ルール」などについて意見を交わした。また、農業理解促進と消費拡大運動として、JAなどが行う食農教育活動や花育事業への支援、生活困窮者支援をする地域の団体へ上伊那米の提供などを行った。
25年度は、新たな「食料・農業・農村基本計画」の実施初年度として、消費者の農業や農村の重要性に対する理解促進、国産・県内産農畜産物の消費拡大に力を入れ、食料安全保障の確立を図る。農業の持つ多面的機能や、多様な担い手が役割を果たし農業・農村を守ることの重要性を訴えることで政治と生産現場の距離を縮め、生産者の声が政策に反映される農政運動を進める。
総会後には、JA全中農政部の杉山隆之部長が「食料・農業・農村基本計画に基づく初動5年間の農業の構造転換の集中、土地改良法等の一部を改正する法律に対する農政運動のポイント」と題して講演した。
同JA組合長で同委員会の西村篝委員長は「農畜産物の価格は自分たちでは決められないため、生産者だけではなく、消費者に理解してもらうことが重要。自給率、中山間地域の農地を守るために農政活動に取り組んでいく」と話した。