JAみなみ信州柿部会は14日と15日の2日間、管内5会場で「市田柿適玉生産に向けた摘蕾・摘花指導会」を開き、2日間で合計94人が出席した。同JAでは4年前から作業時期を変えることにより確実な着果制限と適玉生産を目的に摘蕾・摘花技術を検討してきた。同JA管内の試験ほ場や長野県南信農業試験場での試験などで最終的な果実品質に差がないことを確認。労力軽減と、安定生産に向けても有効な技術であるとして同JAでは生産者への普及を進めている。
同摘蕾技術による作業の効率化などを実感し、導入する生産者が増えている。同指導会に参加した松下正敏さん(61・松川町)はきゅうり、桃、市田柿を生産する。「摘蕾作業を少しずつ取り入れており、きゅうりの定植、桃の摘果が落ち着くこの時期に市田柿の摘蕾や摘花をすることで、夏場の作業分散に効果があると実感している。今シーズンはもう少し摘蕾を強めて、さらに作業効率をあげていきたい」と話した。
同指導会では同JA営農部果実柿課の米山直樹技術員が摘蕾の実施時期や方法、試験結果、昨年の原料柿の過剰肥大への影響や対策についても説明した。参加者は真剣な表情で説明に耳を傾け、グループに分かれて実際に摘蕾作業を体験した。米山技術員は「作業時期を分散することで市田柿品質向上や生産者の作業効率化に有効な技術。多くの生産者の皆さんに積極的に取り入れていただきたい」と話した。
同JAでは農業経営モデルの一つとして「市田柿+夏秋きゅうり」の複合経営を推奨しているが、夏にきゅうりの収穫が始まると市田柿の摘果作業が遅れ小玉傾向などが課題となっている。課題解決に向け、同JAでは2021年度から蕾の形が分かる5月中旬頃から開花時期に量を調整する市田柿摘蕾技術を確立し、普及をすすめている。