JA上伊那は、酪農部会、肉牛部会、中小家畜部会を統合し、新たに『畜産部会』を設立した。統合による生産者同士のさらなる交流や活動の活発化が期待され、上伊那地域の生産基盤を発展させることが目的。初代の部会長には伊那市の白鳥廣明さんが選任された。
上伊那は、自家産の堆肥を利用した自給飼料をふんだんに使用する酪農家が多く、長野県内でも有数の酪農地帯だ。しかし、生産者の高齢化や生産コストの高騰により、離農者は増加傾向。肉牛や養鶏、養豚などを含むJAの畜産全体の生産者数は、10年前は59戸だったが25年3月末時点では29戸となっている。近年では、生産者数の減少による部会活動の中止や規模縮小が余儀なくされてきた。
管内では以前から酪農家が肉牛繁殖生産者としても活躍するなど、部門を超えた生産者同士の協力体制がある。畜産農家が減少する中、畜産部会として統合し、生産者が一つになって取り組むことで、所得向上と、部会員の連帯を図ることを期待する。
4月3日、伊那市のJA本所で設立総会が開かれ、生産者やJA役職員ら約30人が出席。規約や事業計画など6議案を承認した。2025年度は、消費者に「安全・安心」で「喜ばれる」農畜産物を心がけ、生産性の向上に取り組む。
白鳥部会長は「自分が畜産をはじめた30年ほど前は、ここまで生産者が減るとは考えもよらなかった。近年、急激に生産が厳しくなっているが、お互いに支えあって、みんなで乗り越えていこう」と呼びかけた。