北アルプス連峰の恵みを活かした米作りの産地で知られる、JA大北管内の各営農センターで2025年産の水稲種もみ配布が3月上旬から始まった。この配布は、「JA長野県安心基準米」の生産に必要な種子全量更新を目的とした取り組みで、地域農業を支える重要な活動となっている。
大町市常盤にあるJA南部営農センターでは、3月7日と8日の2日間、同市常盤地区と松川村の生産者を対象に事前予約分の種もみが配布された。配布会場となった農業倉庫では、「コシヒカリ」「風さやか」「あきたこまち」「もち米」「酒造好適米」などの種もみが積み上げられ、ドライブスルー方式で生産者に引き渡された。センター職員らは、予約に応じた種もみの袋を手際よく車の荷台に積み込み、円滑に対応した。
また、配布日には水稲育苗講習会も開催され、JA担当者が育苗ハウス内の温度管理や田植え後の水管理について指導。生産者らに育苗や生育の注意点が具体的に説明された。
JA全体では、「コシヒカリ」を中心に約81トンの種もみが各営農センターで配布する。一方、2025年産の主食用米の生産数量目安は、大北管内で18,812トン、作付け面積は約3,107ヘクタールと見込まれ、前年に比べ115ヘクタールの増加となっている。米不足が懸念される中、JAでは地域農業再生協議会と連携し、需要に応じた適正生産を進めていく考えだ。