大北地区の果樹生産の主力品目であるりんごの生産技術の向上と生産者の結束を図るため、大北園芸振興協議会、JA大北、およびJAりんご生産部会は2月19日、令和6年度大北りんご生産振興大会を大町市のJA大北本所会館で開催した。生産農家や関係者が集まり、昨年度のりんご生産状況を確認し、生産技術向上の講演会が開かれた。また、選果場の優秀出荷者が表彰された。
大会には、大町市、松川村の生産農家やJA営農指導員、県北アルプス農業農村支援センターのほか、県外の青果市場関係者など約40人が参加した。開催に先立ち、大北園芸振興協議会の中塚満会長、JA大北りんご生産部会の平林秀規部会長、JA大北の中村茂専務理事が主催者あいさつを行った。
平林部会長は「これまでの反省を活かし、地域計画を進めながら、若い担い手とともに大北の産地を盛り上げていってほしい。最近の高温による影響で栽培が難しくなり、収穫量が減少しているが、未来の10年に向けて対応を考えていく必要がある」と述べた。当JAの中村茂専務理事は、「現在、長野県のりんご生産量は11万トンで、平成9年の22万7千トンから半減している。主な原因は生産者の高齢化、資材の高騰、価格の低迷、自然災害、温暖化などが挙げられる。JAでは技術対策と産地維持を進め、高品質なりんごの生産を目指している」と語った。
続いて、JAりんご選果場の表彰が行われ、品種ごとの上位等級者と最多出荷者に表彰状と記念品が授与された。表彰されたのは、サンつがる、シナノスイート、サンふじの各品種から計4人だった。
その後、令和6年度の反省会が開かれ、昨年度のりんご出荷量や品質、販路についての分析や評価、令和7年度の生産販売に向けた話し合いが行われた。農家や関係者は、今年度のりんご生育状況や市場動向、選果・販売経過について情報交換を行い、意見を共有した。例年より早い花の満開や低温の影響による裂傷、高温による実割れなどの課題が報告された。
最後に大会では、昨年度のりんご生産状況を振り返りながら、生産技術向上に向けた講演が行われた。JA全農長野で長年生産振興や販売を担当していた沖村俊彦氏が「りんご産地の維持拡大に向けた、担い手づくり・産地づくり」と題して講演を行った。りんご生産量が減少する中で、高密植栽培の取り組み強化が重要であり、10aあたりの収量を上げることで生産者の収益向上を目指す。また、りんご産地としての収益性向上を目指し、経営安定に向けた取り組み(労働生産性の向上)、目標反収・品質維持のための生産技術向上、省力品種の検討と出荷可能な品種構成の確立など、具体例を紹介しながら説明した。参加者は講演に深い関心を寄せていた。
令和6年度JA大北りんご選果場表彰者は次のとおり(敬称略)
〇上位等級の部
▽ サンつがる・中村 元治(大町市大原町)
▽ シナノスイート・株式会社 国光園(大町市俵町)
▽ サンふじ・平林 栄一(松川村新屋敷)
〇最多出荷の部
▽ サンつがる・株式会社 国光園(大町市俵町)
▽ シナノスイート・藤巻 和成(大町市常盤)
▽ サンふじ・株式会社 国光園(大町市俵町)
▽ 全品種・株式会社 国光園(大町市俵町)