寒風が育む伝統保存食「凍りもち作り」

JA大北
もちを冷水に2日間浸し、引き上げる会員ら
もちを冷水に2日間浸し、引き上げる会員ら

大町市常盤須沼の農産物直売所「かたくり」で1月8日から20日まで、直売所の凍りもち部会(曽根原叶子代表)による、冬の寒さを活かした伝統食品「凍りもち」作りが行われた。
同直売所では、冬の寒さを活かした伝統食品を商品化し、食文化の継承と地域の活性化、米の消費拡大を図ろうと29年前から地区の農家女性が中心となって、この凍り餅づくりを始めた。凍り餅部会の会員が地元で契約栽培するもち米「もちひかり」を蒸かし、昔ながらの臼と杵でつくのは力のある男性会員の役目。餅を手返す女性会員との息もさすがだ。つきあがった餅は、板で作った型に乗せて均等に伸ばして冷ます。冷えたところで4センチ×7センチ四方に切り分けて和紙で包み、10個をひもで1連にする作業を日中に行う。連にした餅は大きな水槽に2日間浸し、氷点下になる夜間に軒下に吊るす。約2ヶ月間、寒風にさらし、乾燥させるとサクサクとした食感の凍り餅に仕上がる。夜間の氷点下で凍り、昼間溶ける行程を繰り返しながら次第に乾燥させることが重要で、昔から大町市で作られていた伝統食だ。今年は4,500連(餅45,000個)を作った。
食べ方は様々で、水に浸し戻して食べたり、揚げたりして食べるほか、長期保存もできるため、非常食にもなる。凍り餅の特徴として、もち本来の自然な味で、水で戻した時には固まらず、液状になるため、離乳食や介護食としての需要もある。曽根原代表は「今年の寒さは凍りもち作りに最適だと思います。伝統の味を多くの人に楽しんでいただけるよう、心を込めて作りました」と意気込みを語った。

MENU