飯田市の長野県下伊那農業高校農業機械科3年生14人は17日、豊丘村のトマト生産者の春日健司さん(55)のほ場で「ココバック栽培」を見学した。同校では「栽培技術」の授業の一環で、省力技術として「ココバック栽培」に着目し学んでいる。春日さんは同校の卒業生でもあり、生徒らは先輩農家から栽培技術や実践方法を学んだ。
春日さんのお宅では20アールのハウスで「ココバック栽培」によるトマト栽培を始めて13年目。導入コストはかかるものの、病害対策がしやすく、定植や潅水、栽培後の片付けなど栽培管理が容易であることを説明した。マニュアルを元に研究と工夫を重ね、安定した栽培を実現するまでの体験談を話し「潅水や追肥などの管理のコントロールがしやすくトマト栽培に適している」とココバック栽培の魅力を伝えた。
同校ではこれまでにトウガラシやスイカにココバック栽培を導入したが思うような高い効果が得られず、トマト栽培での有効性を探っている。見学した宮島大輝さん(18)は「実践しているほ場を見て、これまで勉強してきたことの理解が深まり新しい発見もあった。農家さんの工夫や努力があってこそ技術の効果が発揮されると感じた」と話した。
春日さんは「未来を担う皆さんに農業に少しでも興味を深めてもらうために、できることは協力したい」と快く見学を受け入れ、「農業の楽しさややりがいも伝わり、将来的には就農してもらえたらうれしい」と話した。
ココバック栽培は「ココバック」と呼ばれるヤシ殻を使用した有機質培土を使用した少量培地養液栽培システム。培土が入ったバック(乾燥時:厚さ4.5cm×幅20cm×長さ950cm、重さ3.5~4kg)を配置し定植する。給液はそれぞれの株に設置したドリッパーを用いる。培土を耕すなどの作業がなく、病害のリスクが低い。同JA管内でもトマトやパプリカ、きゅうり栽培に15件の農家が導入している。