JA信州諏訪の小平淳組合長が11月20日、富士見町のJA長野厚生連富士見高原医療福祉センター富士見高原病院が開いた地域住民向けの公開講演会「食の安全と、私たちの健康」で講演を行った。「農業のいまとこれから」と題し、日本の農業を応援し、食の未来をつくる〝国消国産〟の大切さを訴えた。
講演会は、地域へ医療と健康を広める活動として毎年行っている。今回は健康に直結する「食」に着目。小平組合長、同病院消化器外科部長の井村仁郎さん、管理栄養士の笠原理恵さんの3人が、それぞれの立場から知っておいてほしい項目を話した。同JAの組合長が講演するのは初めて。
小平組合長は、日本が食料の約6割を輸入に頼っていることを説明。もし輸入が難しくなれば国民の食べ物が足りなくなると警鐘を鳴らし、日頃から国産を選んで食べることの重要性を強調した。国産はおいしくて安全・安心な食事を実現し、日本の農業を食べて応援できる。食料自給率も高まる。
「令和のコメ騒動」にも触れ、2024年産の相対取引価格が60キロあたり2万2700円となり、農家側から見た本来の適正価格となったと解説。しかし主食用米の需要供給面が課題で、需要量は年々下がっているものの、近年の生産量で凶作になったり、海外からの輸入米が止まったりした場合は、短期間で充分な量を供給できなくなるとした。
「世の中の物価上昇に農畜産物だけが取り残されている。食料・農業・農村基本法が5月に改正されたことを受け、適正な農畜産物価格の形成に向けて国が動くこととなったので期待したい。農家は自助努力の限界のなか頑張っているので、国消国産で応援してほしい」と呼びかけた。
井村さんは注目を集める腸内細菌の役割や疾病予防を説明。笠原さんは腸内環境を整える食事を紹介した。