伝統を守る 山羊の生産技術研修会

JAみなみ信州
「削蹄」作業の研修
「削蹄」作業の研修

JAみなみ信州山羊部会は10月24日、飯田市の三尋石集畜場で部会員12人と飯田家畜保健衛生所、全農長野、同JA職員が参加して「山羊生産技術研修会」を開いた。同研修会は部会員の生産技術の底上げを目的に毎年行っている。同研修会では山羊の販売・飼料情勢を共有し、「削蹄」作業を学んだ。参加者は熟練の技を学ぼうと熱心に説明を聞き、アドバイスを受けながら実際に作業も行った。
講師を務めた同部会の城田政治部会長(76)は「今はペットとしての需要が高いが、山羊の乳は栄養価が高くおいしい。人間のくらしを支える本来の役割を果たせるような高品質な山羊を生産するよう努力している。良い山羊を育てるには様々な山羊を見て経験を積むことが必要。部会で技術を惜しみなく伝え学び合い、この産業を守っていきたい」と話した。
削蹄は山羊の脚の状態や身体全体のバランスを見ながら行う「爪切り」で、山羊を健康で長生きさせるために重要な作業。また経験や技術が必要なことから山羊を飼育して50年以上の大ベテランの城田部会長が講師となり実演し説明した。山羊の発情期の管理や徐角などについての説明のほか、飯田家畜保健衛生所保健衛生課の林陽子主任が蚊の媒介による山羊の腰麻痺について注意を呼び掛けた。
同部会員は現在26人。毎年7月に行う下伊那子山羊市場は血統書付きの日本ザーネン種だけを扱う日本で唯一の市場で、日本全国から購買者が訪れセリが行われる。70年以上続く伝統を守ろうと生産者は誇りと熱意を持って生産に励んでいる。生産者の高齢化などで生産数が減少する中、飲乳用のほか最近ではペットとして飼育するなど山羊の人気は根強く、部会全体で生産維持に取り組んでいる。

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