長野市篠ノ井会地区の住民グループ「あいの里・芋煮会」は、遊休農地の活用と地域交流の活性化、農家ではない住民の農業理解醸成をめざし、里芋を共同栽培している。発足以来、今年で5年目の活動。11月4日に、会員やその家族36人が参加し、収穫作業をした。
ほ場は遊休化していた地区内の優良農地18アール。連作障害対策のため、面積の半分に里芋を、また、会員の要望で、比較的手間のかかりにくい長ネギや、落花生を作付けした。会員が5月に定植作業を行い、その後の草取り作業なども皆で協力してきた。新型コロナウイルス禍に発足し、交流も最小限、目的の一つである収穫物の「芋煮会」も行うことができなかったが、昨年度発足後初めて、収穫物を芋煮にして、皆で収穫を祝い、会員間の交流を深めた。今年も芋煮会を予定し、収穫作業に力を込める。高温干ばつで不作だった昨年に比べて、今年の出来は上々で収穫量も確保。発足時から会員である男性は「自分は家庭菜園程度だったが、農業も体験でき苦労や楽しさなどから理解も深まるし、地域の皆さんと交流ができて、とてもいい機会になっている」と話しながら収穫を喜んだ。
会の発起人で会長の久保田敏夫さんは、「コロナ禍以降、生産者や地域の集まりなども自粛が続いていたが、いろんな方に会に参加していただけて、情報交換の場にもなっていて“実のあるもの”になっている」と話す。久保田さんによると同地区には850世帯ほどがあり、農業振興地域とアパートや新築物件など新興住宅地を有するなか、「新しくこの地域に来た方も多く、特に住宅地と農業地が分かれているため、この地域に農業を知らない方も多い」という。今年の会員数は35組、発足以降毎年35組前後で推移。会員数拡大へ間口を広げるため、久保田さんのほ場で会員家族などを対象に果実の収穫体験会を開くほか、公民館報を通じた活動PRを行い、関心を引く。今後は地元の育成会とのタイアップも検討。「地域の方が、会地区や農業のある地域に溶け込んでもらえるきっかけ、受け皿になれれば良い」と展望を語る。11月中旬に「芋煮会」を計画し、実りの秋を祝いながら交流を深める考えだ。