農林水産省の果樹・茶グループとJA上伊那は10月1日、伊那市の同JA本所でりんご生産者情報交換会を開いた。農水省やJA全農長野、同JAの役職員、管内のりんご生産者など26人が出席。りんごの省力栽培として高密植栽培の普及を進めたい国と、全国的に高密植栽培が進んでいる上伊那が、現状や今後の対策について話し合うために行われた。
上伊那全体のりんごの栽培面積は203ヘクタール。うち高密植栽培は82ヘクタールと約40%を占め、生産者は約35%、2023年度の出荷数量のうち65%が高密植栽培のりんごとなっている。また2016年ごろから現在まで、毎年1万本~2万本の苗木が植えられており、近年は成園化した圃場が増加したことで生産量は増加傾向だ。
情報交換会で農水省は、全国の果樹生産の現状や課題を説明。堅調な需要があるにもかかわらず、担い手不足などによる生産量の減少でニーズに応えきれていない現状から、担い手等の確保を進めつつ、省力樹形の新植・改植の加速による既存産地の維持と新規産地の創出で、生産基盤の底上げを図っていくと話した。一方で同JAや生産者は、高密植栽培に取り組むにあたって今後、国に期待することなどを伝え、活発な意見交換が行われた。
同JA営農経済部園芸課の柴誠裕課長は「国の新改植事業により高密植栽培は増加し、若い生産者を中心に生産意欲が高まっている一方で、農地の確保や集約、高密植栽培に合わせた農機や集出荷体制など課題は多い。高密植栽培のモデル的な産地となるよう、引き続き振興を図りたい」と話した。