JAみなみ信州農政対策協議会と南信州地域振興局は10日、飯田市の同JA本所でサル農業被害対策講習会を開いた。山間地が多い同JA管内では県内でもサルによる農業被害が多く、今年度被害金額2,000万円超と深刻化している。農産物を守り農業振興を進めるために地域全体での対策強化が必要として、同JA管内の各市町村鳥獣害対策担当者や同JA役職員らおよそ60人が参加した。
同JA組合長で同協議会の寺沢寿男協議会長は「さまざまな面から農業振興を進める中で鳥獣害、特にサルによる甚大な被害に対して危機感を強めている。地域の農業を守るためにも各行政が中心となって地域をあげて対策を強化してもらいたい。JAも全面的に協力していく」と話した。
同講演会ではサルの生態や農業被害対策、追い払いの実演、サルの群れ把握に向けた飯田市によるGPS活用の取り組みや事例発表、阿智村浪合地区の追い払いの取り組みの紹介など、効果的な被害防除や具体的な取り組みなどサル被害対策に関する情報を共有した。参加者は質問をしながら、地域全体で様々な対策を粘り強く行っていくことが重要であると確認した。
参加した喬木村生活環境課環境林務係の宮沢文彦係長は「村内で対策を協議しているが、今日の講演内容を踏まえるとより強固な対策が必要だと感じた。地元の猟友会などと情報を共有して計画的に進めたい」と話した。
同協議会では今後も地域全体の被害対策を呼び掛けるとともに、鳥獣害対策に関する補助対策の各市町村での活用、長野県に対し補助体制の強化について働きかけていく。