8月30日、上伊那地域の秋の味覚として親しまれている小ブナの出荷が始まった。今年はJA上伊那鮒部会員7人が中川村、飯島町、駒ケ根市で養殖。9月25日までに約4トンの出荷を見込む。
小鮒は昔から貴重なタンパク源として養殖され、秋祭りなどで甘露煮としてふるまわれている上伊那地域の郷土料理。例年は体長3~5センチほどの大きさで出荷するが、今年は夏場の高温の影響を受け大きさのばらつきや出荷量の減少が懸念されている。
この日は、同村の根井昭男部会長が約460キロを出荷。JA担当職員ら4人と一緒に、泥抜きするために2日前に移したいけすから網などを使って小ブナを水揚げし、重量を測りながら、生きたままの状態で出荷した。
根井部会長は20年ほど前から小ブナの養殖を始め、現在は休耕田を利用した40アールの養殖池で育てている。養殖池は、近年の高温で水温が上昇するのを抑えるため、通常の水田よりも水深を深く改良。自分で育てた親ブナからふ化させた稚魚を、約3カ月かけて、まごころ込めて育てている。
根井部会長は「生き物相手のため、一瞬も気が抜けない」と養殖の苦労を話すが「うちで育てた小ブナはやわらかく甘いのが特徴。若い人は食べる機会が減っているが、食文化として継承していけたら」と話した。
小ブナは管内A・コープ店やJA農産物直売所ファーマーズあじ~ななど15店舗で生きたまま販売される。