夏秋イチゴの新品種の名称「あまあづみ」お披露目 市内の小学生が考案

JAあづみ
安曇野市役所で開かれた名称お披露目会
安曇野市役所で開かれた名称お披露目会

安曇野市やJAあづみ、市内の農家らでつくる安曇野農業再生協議会は11日、夏から秋にかけて栽培する「夏秋イチゴ」の新品種の名称を「あまあづみ」と発表した。安曇野生まれの品種は初めてで、同市穂高の原優真さん(10)が考案したネーミングが採用された。
新品種は、同市堀金で夏秋イチゴを栽培する堀井勇司さん(=JAあづみ夏秋いちご部会)が8年かけて育成。夏秋イチゴとしては、糖度が高く、芳醇な香りや果汁の多さが特徴。適地で栽培することから、国内で生産が落ち込む夏秋期の需要に応えられる新たな品種として期待されている。収穫期は5月下旬頃~11月末頃まで。
県の育成品種「サマープリンセス」などを掛け合わせて生まれた。市によると、冬から春に栽培される品種の開発が進められるなか、初夏から秋に栽培される夏秋イチゴの研究例は国内でも少数だという。大学時代に育種の技術を学んでいた堀井さんは「農家が作りやすくて、果実のいいところを残した育種がしたかった。いい物が出来た」と手ごたえを口にした。22年6月、農林水産省に品種登録出願(ASK1-1)し、同年9月に受理された。
夏秋イチゴは2004年、JA管内の農家2軒が35アールで栽培をスタートした。夏場の高温対策や地下水を活用した培地の冷却技術の確立など関係機関と連携し、栽培上の課題を解決しながら、順調に栽培面積や生産量を伸ばし、全国有数の栽培面積を有する産地にまで発展した。
13年には販売額が初めて1億円を突破し、栽培面積は188アールにまで拡大。16年には販売額が2億円を突破し、18年には42戸、栽培面積は516アール、販売額は3億円と右肩上がりで伸長。24年度は51戸が617アールで販売額は4億4332万円を計画している。
名称は、同協議会が24年4月15日から1か月間募集していた。全国43都道府県から1255件の応募があり、6月下旬に開かれた選考委員会で決定。新品種のイメージを表していて、安曇野らしく、親しみやすいネーミングという点が評価された。
同日、安曇野市役所で新品種の名称お披露目会が開かれ、太田寛市長や育成者の堀井さん、原さんが通う市立穂高西小学校4年生の児童ら約40人が出席。
命名者の原さんには市関係者から賞状が、堀井さんからは副賞としてあまあづみのイチゴ刈り招待券が贈られた。その後、「あまあづみ」の試食会が行われ、試食した女の子(10)は「赤くて、甘みが強い。また食べたくなるほど美味しかった」と笑顔で話した。
品種開発者の堀井さんは「育種は年に一度しかできないことなど、簡単ではなかった。時間はかかったが、安曇野生まれのイチゴとして他産地との差別化を図り、日本一の産地を目指してPRしていきたい」と意気込んだ。

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