スマート農業の新技術開発に取り組んでいる「露地野菜コンソーシアム」は5月30日、伊那市の株式会社JA菜園でアスパラガス自動収穫機の開発報告会を開いた。実用化に向けて開発中のコンテナチェンジャーや、ハウス間を移動するためのレール走行、改良された収穫機を実演した。
露地野菜コンソーシアムは伊那市や長野県立南信工科短期大学校、JA上伊那、地元企業などで構成。アスパラガスは収益性が高いが、生産に人手がかかるという課題を解消するため、2020年度から自動収穫機の開発に取り組んでいる。22年度までに試作機の開発を進め、23年度からの3年間で実用化に向けて開発・改良。来春の収穫時期には無人運転の実現を目指す。収穫機は収穫できる長さになったアスパラガスをカメラで認識し、アームを伸ばして収穫する仕組みだ。
報告会には生産者や関係者ら約60人が参加。収穫したコンテナを自動で交換するコンテナチェンジャーは圃場で使用できるよう電気を使っていないことや、ハウス間をつなぐ「Rレール」はスムーズな移動ができるよう車輪の形状などを工夫していることなどが説明され、実際に動きを確かめた。
また改良した収穫機には、アスパラガスの認識率向上のため認識処理にAI機能を導入。収穫からコンテナに収納するまでの時間を22秒から17秒に短縮し、カット方法を変更したことで収穫時の食い込みによる停止もほぼなくなったと報告した。
同JA営農経済部園芸課の小出順誠野菜係長は「アスパラガスの収穫は手間がかかる。全ての収穫作業が自動でできるようになれば、一人あたりの面積拡大にもつながる」と期待した。
アスパラガスは同JAの主力品目のひとつで長野県一の生産量を誇る。JAでは10年後に販売高10億円を目標にさらなる生産拡大に取り組んでいる。来年2月には、共選体制を本格的にスタートさせ、出荷準備にかかる生産者の負担軽減を図る。