蓼科養蜂合同会社が諏訪で今年初の採蜜 受粉ミツバチの販売も手掛ける

JA信州諏訪
巣枠に溜まった蜜を手作業でとる社員
巣枠に溜まった蜜を手作業でとる社員

茅野市の養蜂業者、蓼科養蜂合同会社が5月2日、今年初となる地元諏訪地域での採蜜作業を行った。国内各地を移動する移動養蜂を行う一方、「採蜜と同じくらい大切な仕事」と捉える農家への受粉ミツバチの販売・貸出も手掛けている。今年は7月上旬、同社の純国産蜂蜜商品「花の和(なごみ)」の発売をめざす。
同社は1933年に創業。現在は、社長の矢沢健一さん(60)と従業員10人が勤務している。矢沢さんは、妻千冬さんの父で2代目社長の吉田清登さんから受け継ぎ3代目となり、11年目。
県内で百花(複数の花)、アカシアを採蜜。その後、8月盆すぎまで北海道でキハダ、シナの木、ソバで採蜜。十分にろ過し、「花の和」の専用瓶に詰めて、同社や地元の直売所などで販売する。12月初旬、三重県でミツバチを越冬させ、新年の飼育をする。
受粉ミツバチの養蜂箱の販売・貸出は10月中旬から11月初旬まで行う。イチゴ農家にはミツバチの卸問屋を通して養蜂箱約300箱を販売。リンゴ農家には県内JAを通して約150箱を貸し出す。矢沢さんは「ミツバチが全国各地の農家の皆さんの役に立てる機会。採蜜と同じくらい大切な仕事で、養蜂をする人の使命だと思っている」と話す。
今年初めて二班体制を導入。同日に2カ所で採蜜するため、効率よく作業を進められる。また、巣枠の雄巣房にとり付くダニの駆除に向け、講習会で教わった手作業で行う方法を取り入れた。矢沢さんは「ダニの悪影響は毎年8月過ぎから発生するので、その時期に作業の効果が表れれば嬉しい」と期待を込める。
この日は、市内2カ所で4人ずつに分かれて百花を採蜜。矢沢さんの班では、毎年作業する敷地内に養蜂箱20箱を設置。巣枠を入れ替える人、巣枠に溜まった蜜蓋を手作業で取り除いた後、遠心分離器に設置する人など分担して手際よく進めた。5月末から6月の最盛期は1日で500キロほどとれるという。
矢沢さんは「2022年、2023年は遅霜の影響でアカシアの蜜が半分以下だったが、今年は気温が高いため増量が見込めそうだ」と話す。「ミツバチを大切に、穏やかに育てながら採蜜に励みたい。多くの人においしく味わってもらいたい」と意気込みを語る。

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