諏訪市サル対策検討会 地域ぐるみの対策で被害防ぐ

JA信州諏訪
地域ぐるみでの対策の重要性を学んだサル対策検討会
地域ぐるみでの対策の重要性を学んだサル対策検討会

諏訪市は3月22日、同市の湖南公民館で「諏訪市サル対策検討会」を開いた。同市西山地域(有賀・北真志野・南真志野・大熊・神宮寺)の区長や猟友会メンバー、農業関係者ら35人が参加。農業被害を防ぐためサルの基本的な知識を学び、戸別・農地別でなく“地域ぐるみ”が鍵となる対策方法への理解を深めた。
同地域では、サルの目撃情報と農業被害が報告されている。このことから定期的に対策検討会を開いており、今回は環境コンサルティング会社「株式会社BO-GA」の花井滉大さんを講師に招いた。
同社は2020年に市と委託契約を締結し、サルの生態調査、課題解決に向けて取組んでいる。サル群れの1頭に、朝5時から夜20時まで3時間ごと位置情報を記録するGPS装置を取り付け、潜在位置や行動範囲を調査。サル群れは主に同地域内を行き来しており、山に帰っていないことが分かった。
花井さんは「サルは、人に近づかれることが一番怖い。見かけたら恐れずに追いかけて山へ追い返すのが効果的」と説明。他地域では見回りの回数を増やし、サルを見かけた人がロケット花火など補助道具で知らせ、音を聞いた周囲の住民も集まり皆で山へ追い返すという方法を続け、功を奏したという事例もある。また、畑に野菜を捨てない、侵入を防ぐ電気柵を正しく設置するなどが有効だという。
花井さんは「これらの対策は戸別・農地別では間に合わず、サル行動圏に含まれる集落全体で対策することが重要。地域ぐるみで複数体制でのパトロール、放置果樹の伐採など誘引物撤去への理解を進めてほしい」と呼びかけた。
講習の後、参加者は地区ごと集まって被害の現状や今後の対策を話し合った。
同市の平林牧博さんは、10年以上前から畑でのサルの被害に悩まされている。昨年12月、畑の近くに市が設置した檻に今年1月サルがかかり、GPS装置を取り付けたという。
平林さんは「サル群れの行動範囲を説明してもらい、今後の参考になった」と話した。

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