上伊那農業農村支援センターと宮田村、JA上伊那で構成する宮田村農業農村支援センターは2月15日、宮田村役場で大豆生産振興検討会を開いた。村内の大豆生産者24人が出席し、実物を見ながら2023年度の作況を確認したほか、試験栽培の結果を共有。今後の大豆栽培に向けて意見を出し合った。
同村では大豆ナカセンナリを栽培し、JAを通して全量を村内にある株式会社マスダの食品部「宮田とうふ工房」に出荷。豆腐や豆腐ドーナツなどの加工品として販売し、6次産業化で地産地消に取り組んでいる。
JA管内では水田転作として大豆を栽培する生産者が多い一方、水田転換畑は水はけが悪く湿害による収穫量や品質の低下につながりやすい。23年度、宮田村農業農村支援センターではその課題を解決しようと排水対策の検証を行った。
検討会では、播種時に溝堀機で暗きょを設置して栽培した試験栽培の結果を報告。試験区では対策を取らなかった圃場よりも大豆のさやが高い位置にできたことで、コンバインによる収穫時の汚粒防止につながるとした。また、生育期から開花期は湿害を回避し順調に生育したものの、試験区の大豆100粒あたりの重量は対策を取らなかった圃場よりも軽く、さらに屑粒が2倍近く発生。登熟期の高温干ばつによりさやが育ちきらなかったと考察し、対策として掘った溝から潅水することで干ばつを回避し、屑粒を減少させることで大幅に収穫量が増える見込みがあることを説明した。
そのほかにも、南箕輪村にある信州大学農学部の学生が、ドローンを用いた雑草検出などについて研究した成果を発表した。
宮田とうふ工房の担当者は「ナカセンナリは地域性が高く甘みのある大豆。品質の良いものは時間が経っても香りや風味が良く、おいしい豆腐づくりにつながる」と品質の良い大豆の生産を期待した。
宮田村農業農村支援センターの事務局職員は「宮田村では地元の豆腐や食材を学校給食に使うなど、食農にも力を入れている。生産者の皆さんにはこれからも誇りをもって栽培してもらいたい」と呼びかけた。