JAあづみ管内で、果樹肥料の施肥時期を迎えている。同JAは2023年、高騰する生産資材のコスト低減や生産者の作業負担軽減などを目的にJA全農長野やJAアグリエール長野と共同でオリジナル有機入り果樹肥料「かじゅまる」を開発した。産地の実情にあった成分に内容を改良し、良質な果実生産と土壌の総合的な改善を目指す。営農経済事業部果実課は果樹の剪定作業と並行し、発芽前の2月中の施肥を呼び掛けている。
かじゅまるは、管内の土壌診断結果から、過剰傾向の見られるリン酸とカリについて、必要量を確保しながら減肥ができるように設計。1袋(=15キロ)あたり窒素2.4キロ、リン酸0.45キロ、カリ0.45キロ(有機約20%配合)の成分が含まれる。良質な植物質有機肥料を約20%配合したことで、有機質肥料の効果によって土壌の微生物相や物理性の改善に役に立つとともに、肥効の穏やかな有機由来の窒素を含むため高品質な果実の生産が期待できる。これまでの果樹肥料に比べて窒素成分量を向上させ、従来の半分程度の施肥量で同様の肥効が得られるとともに20キロ袋から15キロ袋に軽量化したことで作業の省力化とコスト低減を実現。
パッケージにはリンゴや桃、梨など管内で生産されている果樹をイラスト化し、表情を加えて親しみのあるデザインに仕上げた。
開発に携わった営農経済事業部果実課の小林鷹文さんは「肥料価格の高騰や高齢化などによる農家の負担軽減を目指し開発に取り組んだ。2月中に施肥して良質な果実生産につなげて欲しい」と話した。
また、同JAではセルリーやジュース用トマトについてもオリジナル肥料の開発を行い普及開始。花きについては試験中。その他主要肥料の価格見直し、自己取り予約肥料の割引価格や引き取り期間の見直しを行い、生産者のコスト低減に向けた取り組みを進めている。