「食」と「いのち」と「くらし」を守る学習会 鈴木宣弘教授が講演

JA信州諏訪
日本の食料安全保障について考えた「食」と「いのち」と「くらし」を守る学習会
日本の食料安全保障について考えた「食」と「いのち」と「くらし」を守る学習会

JA信州諏訪と信州諏訪農業協同組合農政対策協議会は2月2日、「食」と「いのち」と「くらし」を守る学習会を茅野市のマリオローヤル会館で開いた。東京大学大学院農学生命科学研究科の鈴木宣弘教授が「食料安全保障」をテーマに講演。組合員やJA役職員約150人が参加し、日本の食料安全保障問題について考え、生産者と消費者が支え合う「強い農業」の重要性を再確認した。
鈴木教授は、日本は海外からの物流が停止したら「世界で最も餓死者が出る国」と指摘。そこで強化すべき「食料安全保障」は、海外に食料、肥料などを依存し貿易を増やすことでなく、不測の事態でも国民の食料が確保できるように普段から食料自給率を維持することだと主張。国内の農業生産の維持・強化を訴えた。
日本は江戸時代、鎖国政策により物資や資源の出入りがなかったため、地域資源を徹底的に循環させながら農業を行ってきた。この独自の循環型社会はヨーロッパ人を驚嘆させたといい、鈴木教授は「世界一保護なしで踏ん張ってきたのが日本の農家。誇りと自信を持ち、今こそ底力を発揮しよう」と呼びかけた。
また、消費者には安くても危ない食品を避け、地元の安心・安全な食品を購入することを望んだ。さらにJAには、学校給食への食材供給体制や直売所機能の強化、耕作放棄地の活用、生産者と消費者が一体化して生産し消費する仕組みづくりを強く求めた。
鈴木教授は「大勢の方に熱心に話を聞いていただいた。生産者と消費者が支え合う『強い農業』をさらに広め、自分たちの力で命と暮らしを守ろう」と話した。
講演を聞いた原村の山形東さん(67)は「農業や食料の問題をわかりやすく教えてもらい大変勉強になった。今後も地元食材を選ぶようにしていく。生産者と消費者、どちらにとってもより良い社会につながればうれしい」と話した。

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