諏訪の「究極の郷土料理」を伝える 信濃毎日新聞連載企画「信州暮らしの宿る食」の取材

JA信州諏訪
できあがった葬祭料理を前に、横山さん(左)の取材を受ける3人
できあがった葬祭料理を前に、横山さん(左)の取材を受ける3人

JA信州諏訪管理部協同活動推進課は2月3日、茅野市のJA玉川研修センターで、長野市の料理研究家横山タカ子さんの信濃毎日新聞連載企画「信州暮らしの宿る食」の取材に協力した。JA組合員家族で富士見町の矢沢あさよさん(80)、小池千澄さん(84)、植松喜美子さん(75)が地元の葬儀料理を紹介。料理にまつわる思い出や、近所との深いつながりのもと行っていた当時の葬式を振り返り、インタビューを受けた。2月18日付信濃毎日新聞に掲載される予定だ。
今回は、JA長野中央会から相談を受け、同課職員が矢沢さんに協力を依頼。友人の小池さん、植松さんとともに快く引き受けてくれた。
同企画は県内各地の人が冠婚・葬祭料理とその作り方、エピソードを紹介。横山さんがアレンジ料理を紹介するもの。横山さんは「葬式は急に訪れる。葬儀料理はその時にある食材で調理する究極の郷土料理で、地域の宝」と考え、多くの人と料理に出会い、“宝”を伝え続けている。
この日最初に紹介した「油揚げ巻き」は富士見町、茅野、原村の仏事の料理として伝わる一品。小麦粉を溶き卵などを入れて固めに練った後、刻んだサツマイモ、シイタケ、ゴボウなどと混ぜ、油揚げに巻いて味付けし、煮たものだ。
さらに、矢沢さんら3人は「ちくわとかんぴょうの海苔巻き」「こんにゃくの白和え」「塩イカとキャベツの酢の物」「煮鯉」「こんにゃくと豚肉の煮物」「味噌汁」「漬物」「ようかん」「天寄せ」などを準備した。どれも葬式の際、家族や近所皆で協力して作った料理という。
インタビューではそれぞれ、「昔の葬式は近所で助け合って行っていた。コロナ禍でさらに近所付き合いが薄くなって寂しい気持ちもある」「当時を思い出しながら久しぶりにたくさんの料理を作ることができた」「葬式で周りの人から多くの料理を教えてもらったから今がある」と語った。
横山さんは一品ずつ材料や味付け方法などを聴き取り、写真を撮っていた。
横山さんは「作っていただいた料理から、諏訪地域が昔からとても豊かな地だったことがわかる。ごちそうで皆をもてなして故人を偲んだのだなとしみじみ思いました」と話した。

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