黒澤賞・農林水産大臣賞の五味英介さんが研究発表 諏訪地域酪農協議会の新年酪農研修会

JA信州諏訪
第74回日本酪農研究会で研究発表を行う五味英介さん(福岡県福岡市で)(八ヶ岳乳業株式会社より提供)
第74回日本酪農研究会で研究発表を行う五味英介さん(福岡県福岡市で)(八ヶ岳乳業株式会社より提供)

諏訪地域酪農協議会は1月15日、富士見町のホテル八峯苑鹿の湯で新年酪農研修会を開いた。会員、来賓、JA役職員ら46人が出席。会員の五味英介さん(41)が第74回日本酪農研究会の研究発表会で最優秀賞となる黒澤賞・農林水産大臣賞を受賞したことを受け、五味さんが研究内容を発表。意見交換を行い、諏訪地域の酪農の発展に向け意思統一を図った。
協議会には2023年度、諏訪地域の酪農家15件が所属している。研修会は、酪農家と関係者が情報交換を行い、酪農の経営の更なる向上に対する意識を高めることを目的に毎年開催。来賓には諏訪農業農村支援センター、輸送・飼料メーカー、八ヶ岳乳業株式会社、JA全農長野など23団体を招いた。
五味さんは曾祖父から続く酪農家の4代目で、2024年で就農17年目となる。第74回日本酪農研究会は昨年11月、福岡県で開催。「カメレオン酪農~環境変化にしなやかな酪農経営を目指して~」と題し、自らの牧場の概要や酪農経営の経過、今後の課題を発表した。
高校・大学で酪農を学んだ後、北海道での研修、さらにアメリカ留学での経験を活かし、帰国後は牛舎の作業環境を改善し、繁殖管理も徹底。2017年には乳脂量の日本記録牛を輩出した。しかし、コロナ禍とロシアのウクライナ侵攻で輸入飼料が手に入らなくなり、飼料価格も高騰。「時代の変化に合わせて自分の経営も変化していかなければならない」と考え、どのような状況下でも生き残れる経営体制づくりとして、(1)耕作放棄地を新たに借り上げ、粗飼料の生産を拡大。飼料生産管理の一部は外部委託で作業負荷を軽減。地域の野菜農家との耕畜連携。(2)育成牛へのアルファ給与を減らし、近隣のカット野菜工場から譲り受けたニンジン残渣を給与。繁殖性向上、環境負荷軽減につなげる。(3)乳房炎ワクチンの導入で、生産性を向上。(4)乾乳牛舎を新設。搾乳牛舎を効率よく活用できるようになり、以前の1.2倍の乳量を出荷――などさまざまな経営改革に取組んでいる。今後は、自給飼料の生産販売、災害時の乳の有効活用の検討、おいしい牛乳生産のための乳脂肪や脂肪酸の研究などを行っていく考えだ。
五味さんは「地域に根差した持続可能な酪農経営をあらゆる視点、方面から検討し、実現できるように日々研究・研鑽していく」と語った。

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