牛によるメタンの発生減少へ 市田柿の皮が有効か

JAみなみ信州
鼻をつまみ食味を確認する関係者ら
鼻をつまみ食味を確認する関係者ら

JAみなみ信州のグループ会社(株)夢ファームみなみ信州は、長野精工金属(株)と長野県畜産試験場と連携して取り組む「農山漁村発イノベーション推進支援事業試験」の一環で、柿皮をパウダー状にして牛に与えメタンの発生を減少させる研究を進めている。
南信州特産の市田柿生産時に発生する大量の柿皮は産業廃棄物に分類されるため多額の廃棄費用がかかっている。また畜産においては牛のげっぷや家畜の排泄物由来で発生するメタンの量は日本全体の温室効果ガスのうち1%程度とされているが、環境改善のための研究が進められている。研究では柿皮に含まれるポリフェノールの一種であるタンニンがメタンの発生を減少させるとして注目。2023年度は夢ファームみなみ信州の牛群で肥育牛への柿皮パウダーの長期供給試験を行った。
同社の松田拓也管理課長は「通常の概念を覆すようなおもしろい技術で手応えを感じている。課題もあるが実用化に向け研究を続けていきたい」と話した。
夢ファームみなみ信州の中村彰代表取締役社長は「メタンの削減につながり、南信州牛のブランドにさらに付加価値がつくインパクトある画期的な研究。南信州牛のブランド向上、環境にやさしい地域循環型農業の実現に向け引き続き協力いただきたい」と話した。
13日には飯田市鼎の同JA調理室で試験牛の食味試食会を開き、関係者、同JA役職員ら50人が柿皮パウダーを与えた牛と与えていない牛の肉を焼いて実食し、やわらかさや多汁性、うま味や香りなどを評価。食味に関しても試験区の肉が好評だった。

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