飯田市座光寺の熊谷博人さん(69)のお宅では市田柿の加工作業で重要な乾燥工程の作業効率化・品質向上を図るため重量・温湿度遠隔監視システムを導入している。環境管理の失敗によるカビをはじめとする品質不良の発生を減らし生産ロスを押さえ収入増につながるとして、今後JAみなみ信州でも部会員に導入をすすめたい考え。
同システムは「干し柿農家さんの為のスマート農業アイテム 実まもり博士」で、同JAが監修し飯田市の飯田ポリッシング(株)・エトナ(株)飯田開発センター・(株)キャスティネット・(公財)南信州・飯田産業センターが開発した。重量計と温湿度計の2種類を干し場のポイントとなる位置にそれぞれ設置し計測する。丈夫なセンサーを搭載しているため機器をつけたまま硫黄くん蒸ができる。計測した情報を常にスマートフォンで確認でき、適応外の温湿度になるとメールで知らせてくれる機能もあり干場に確認に行く手間を省くことができ、農家の負担軽減につながる。またデータが蓄積されるので次年度以降の管理へ活かすことができる。
市田柿生産では乾燥工程の重量、温度・湿度管理は品質を左右する重要な工程。特にハザ下ろしのタイミングの見極めには経験とこまめな管理が欠かせないため、生産者も神経を使い管理している。熊谷さんは「ある程度乾燥が進んできたら目標の重量になっているかこまめに確認していたが、その必要がなくなった。数字と目で判断することで作業のタイミングを逃すことがなく、蓄積されたデータを分析して仕上がった市田柿の課題を洗い出し次に活かすことができる。品質の向上にもつながっていると手応えを感じている」と話す。
同JA営農部果実柿課の米山直樹係長は「生産者の負担軽減・品質向上に有効だと考えている。利用者の声を聞きながら生産者に推進し、品質向上に努めていきたい。干し場の特性をつかむという意味でも新規就農者にもおすすめしたい」と話した。