スマート農業研修会で先端技術体験 省力・効率性検討

JAあづみ
刈取作業や圃場内旋回も手放しで
刈取作業や圃場内旋回も手放しで

長野県農政部農業技術課と同県農業大学校研修部は10月上旬、安曇野市穂高有明の圃場でスマート農業先端機械操作体験研修会を開いた。生産者団体や農業経営体の代表者、JA職員など約30人が参加。稲の刈取作業などを自動化する大型コンバイン2台を実技体験し、作業の省力・効率性や導入メリットについて検討した。
同県農政部によると近年、農地の集約化により、担い手農家1戸当たりの作業面積が拡大する中、ロボット技術や人口知能(AI)、情報通信技術(ICT)を活用したスマート農業の先端機械の導入に注目が集まっているが、その操作方法等を体験する機会が少ないことから、導入の可否を判断しにくいことが普及上の課題となっている。そこで、大規模農家等を中心に、専門家による操作体験研修を実施し、スマート農業の導入を後押しするため研修会を企画という。
圃場には、大手農機具メーカーの6条刈コンバイン2台が用意され、担当者からコンバインの特徴を聞いた後、参加者は2班に分かれオペレーターとともに自動刈取作業を体験した。
実演したコンバインは、オート機能で、直進・刈取昇降・旋回、籾排出への移動までを自動化できる。最初の1周分を手動走行で刈り取り、圃場の外形を登録することで、その後は3つの自動モードを組み合わせ、圃場の約9割を自動操舵で作業することが可能で人手不足解消や労力軽減に繋がる。
また、圃場内の収穫量のばらつきを「見える化」する。アプリによる収穫情報の一括管理・表示など、情報通信技術(ICT)を活用した分析データと時間、位置の情報を組み合わせることで圃場1枚あたりの収穫量を算出することができる。収量のバラつきを見える化することで、翌年の土作りや施肥設計に活かし、圃場改善を促す。
27ヘクタールで米を中心に栽培している生産者は「初心者でも扱いやすく、熟練者と変わらず操作できるため、人手不足解消に繋がりそうではある。あとは導入コストが課題」と話した。
メーカー担当者は「コンバインの普及が進めば、完全無人化はそう遠い未来ではない」と述べた。
同部農業技術課の近藤義彦課長補佐は「今後、人手不足が懸念される中で自身の農業経営を考慮し、機械の導入を考えるきっかけになれば」と願った。

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