“甘くてジューシー”「シナノスイート」出番 糖度14度選別で食味遡及

JAあづみ
傷等を確認し選果機に流すスタッフ
傷等を確認し選果機に流すスタッフ

県内有数のリンゴ産地、安曇野でリンゴの出荷が本格化している。JAあづみは2日、安曇野市三郷温のJA果実中央選果所でリンゴ中生種の主力「シナノスイート」を初出荷した。
JA営農経済事業部果実課によると、このほどの寒暖差により赤く色づき、糖度が乗って食味・品質ともに順調な仕上がり。春先から度重なる気象災害で出荷量は3割ほど減少する見込み。
選果所では、選果スタッフ23人が果実のキズや日焼けなどを目視で確認。選果機のセンサーで熟度や糖度、大きさを判定し、4等級に分けて箱詰めした。この日選果した約1,000ケース(1ケース=10キロ)を首都圏の市場に出荷した。
2023年産の出荷計画は8万3,300ケース(1ケース=10キロ)。「シナノゴールド」や「ぐんま名月」など中生種合計で13万2902ケース(同)の出荷を目指している。出荷ピークは10月10日頃で、10月下旬頃まで続く。11月1日からはリンゴの王様、晩生種の「サンふじ」の出荷が始まる。
「シナノスイート」は、県果樹試験場が早生種「つがる」と晩生種「ふじ」を掛け合わせた育成品種で1993年に開発された。糖度が高く酸味が少ないのが特徴で、果汁が多く甘味もあるため幅広い年代の消費者に喜ばれ、市場からの引き合いも強い。
こうした市場ニーズを背景に同JAでは、22年度から新たに糖度選別を導入。「優」以上の等級は、糖度14度以上として出荷する。県内JAでは数少ない取り組み。10月は競合産地・品目が出揃い、販売環境が厳しくなることから、他産地製品との差別化を図るとともに食味を遡及し高値販売を狙う。
JAあづみりんご部会の西牧幸則部会長は「度重なる気象災害で難しい栽培環境だったがほっとしている。子どもからお年寄りまで幅広い世代のみなさんに食べていただきたい」と話した。
営農経済事業部果実課の中村洋一課長は「糖度選別を販売戦略の柱に食味や品質の高さをPRし、農家手取りの確保に努めたい」と意気込んだ。

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