JA信州諏訪管理部協同活動推進課は8月30日、JA長野中央会や県生協連が取組むバイオ炭プロジェクトの一環で、富士見町のほ場にバイオ炭を施用した。同プロジェクトにJA同課が参画するのは、今年度2回目。1回目の結果を踏まえ、より高い土壌改良効果を期待してバイオ炭を施用する、県内初の試験を行う。地球温暖化対策になり、農家におすすめできる“一挙両得の資材”としての発信に向け、期待がかかる。
バイオ炭は、木や竹、もみ殻、稲わら、剪定枝といったバイオマス(生物由来資源)でつくる炭。分解されにくい炭にして、CO2を閉じ込め、大気中から半永久的に取り除く。農地に施用すると、土壌改良、鳥獣害対策、作物の収穫量増加など総合的効果があるとされる。
1回目の試験は4月中旬、同プロジェクトの基準をもとに、2.63アールのほ場にバイオ炭約26キロ分(10アールのほ場にバイオ炭100キロ程度に相当)を施用した。土壌診断の結果はJA長野中央会によると「施用前・施用後の値に大きな変化はなかったが、悪影響もなかった」という。試験栽培したキュウリ、トマトなど約10品目の生育状況・作柄もほぼ昨年並みだった。
このことから秋作では、(1)より高い土壌改良効果を期待して7.76m2の区画に約3.88キロ(10アールのほ場にバイオ炭500キロ程度に相当)を施用した試験区と慣行区、(2)さらに施用量を増やして3m2の区画に約3キロ(10アールのほ場にバイオ炭1トン程度に相当)を施用した試験区と慣行区――以上の2カ所で比較試験を行うこととした。
30日は、同課職員とJA長野中央会の職員ら計8人が参加し、土壌診断用に土を採取した後試験区にバイオ炭を施用。試験区・慣行区ともに、同量の鶏ふん・元肥などを施用し、畝づくりを行った。今後ハクサイの苗を定植し、1~2週間後に再び土壌診断を行う。その後、生育状況、収穫量に違いがあるか調査を進める。
同中央会総務企画部の古谷真輝斗さんは「初めての土壌改良に有効とされるバイオ炭の施肥量での調査となるので、数値データをしっかりと取りまとめたい。バイオ炭は地球温暖化対策となり、土壌改良や作物の収量増加につながるという結果になり、農家に積極的に普及していければうれしく思う」と話している。