JAみなみ信州は18日、下伊那郡高森町の株式会社マツザワと協力して地元農家から摘果リンゴの受け入れを行った。本来は廃棄する摘果リンゴが同社を代表する銘菓「りんご乙女」の原料として買い取られ、農家の手取り増にもつながっている。今年は7月21日を初回に9月22日まで計19回で、45軒の農家からおよそ55トンの受け入れを予定している。この日は18軒の農家から大11ケース、中419ケース(1ケース10kg)の持ち込みがあった。
摘果リンゴの受け入れは2011年から同JAと同社が協力して始めた取り組み。同社では、JAと協力することで多くのリンゴが集まり、さらに昨年からは菓子の原料となる小麦粉も県内産に切り替え、できるかぎり地元産にこだわった商品を製造している。りんご乙女の原料となる「中」は加工するのに比較的取り扱いやすく味も良い「ふじ」のみに品種を限定しているが、2021年からはこれまでの56㎜~72㎜の規格より大きい摘果リンゴも「大」として品種を問わず受け入れを始め、シードルやアップルパイなどの原料に使用している。農家にとっては受け入れの幅が広がりさらなる収入増が見込まれる。
3年前から摘果リンゴを出荷しているという中村地区の仲田俊史さんは、この日35ケースを持ち込み「今年は凍霜害もなく着果量が多く摘果の量も多かった。今まで廃棄していた摘果りんごを原料として受け入れてもらえ収入になるのはありがたい」と話した。
同JA営農部販売課の松重恵佑担当は「本来は捨ててしまうものが収入になり生産者の皆さんも喜んでいる。JAとしても生産者の手取り増大につながる取り組みで大変ありがたい。おいしい原料を提供することで地元企業への貢献につなげたい」と話した。
同社の「りんご乙女」はスライスしたりんごをのせた薄焼きクッキー。サクサクした食感とりんごのさわやかな香り、甘酸っぱい味覚が特徴で国際優秀味覚コンテスト(iTQi、ベルギー)で2009年から15年連続で最高位3つ星を受賞している。