田んぼへ天然ガス・地下水排出装置を設置

JA信州諏訪
天然ガスと地下水を排出する装置を設置した田んぼ
天然ガスと地下水を排出する装置を設置した田んぼ

諏訪市豊田地区の小泉瑞生さん(55)が土地を所有する田んぼ(約16アール)で7月上旬、地中から噴出する天然ガスと地下水を排出する装置を取り付けた。栽培管理する男性が天然ガスの供給に携わっていた知人に相談して実現。この地域での水稲栽培の課題改善に向けた取組みとして、注目が集まっている。
田んぼは以前、諏訪湖だった場所にある。このため、腐食を含む粘土層やシルト層からなる分厚い堆積物から天然ガスにより過剰な窒素を多く含む地下水が噴出している。天然ガスは生育不良、地下水は収穫時の田んぼのぬかるみなどの原因となる。周辺一帯も田んぼで、複数の生産者が頭を悩ませながらも各々で対策を講じ、長年にわたり地域の水稲栽培を守り続けている。
天然ガスは以前、エネルギー源として地域住民が日常生活で使用していたが、時代とともに使用量が減少。このため、近年では噴出量が増え、地下水とともに地上に吹きあがってきているという。
装置は直径90センチ、深さ80センチの円筒状。ステンレス製の蓋を溶接し、田んぼ内の噴出量が特に多い場所に70センチほど埋めたもの。上部側面に取り付けた塩ビパイプを、近くの用水路まで畔に沿って約24メートルつなぎ合わせ、天然ガスと地下水を排出する仕組みになっている。
男性は「これまでは苗を植えても噴出場所一帯は天然ガスの泡で根付かず、地下水の自噴により中干しもできなかった。昨年度は秋の収穫時まで田んぼがぬかるんだままでコンバインが入れず、収穫ができなかった」と振り返る。
現在田んぼには「あきたこまち」の苗が、長さ50センチほどに青々と育っている。
男性は「設置後は順調に生育している。装置が効果を発揮し、秋の収穫時にコンバイン作業ができればうれしい」と期待を寄せている。

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