農林水産大臣賞受賞 大豆栽培における努力実る

JAあづみ
農林水産大臣賞を受賞した安田さん
農林水産大臣賞を受賞した安田さん

大豆と大麦の二毛作を収益の柱とし、大豆の摘芯栽培や連作障害回避などを目的とする2年3作体系などを軸に農業を営んでいる。代々続く農家に生まれた安田大樹さん(37)はものづくりが好きだった。いずれ、家業である「農業を継ぎたい」との想いは抱きつつも、県内の建設会社に就職。家業の規模縮小の連絡をきっかけに3年間の社会人経験を経て、26歳で就農。現在は、両親と妻の4人で水稲15ha、麦大豆の二毛作8ha、大麦単作2haなど土地利用型作物を中心に栽培している。2023年産は水稲90トン、大豆24トン、大麦47トンの出荷を見込んでいる。
経営・技術上の取り組みとして、将来の地力維持や社会情勢への対応、連作障害回避などを目的とする2年3作体系のほか県下でも導入例の少ない大豆の“摘芯”による倒伏防止対策技術などを実践し、単収で大麦500キロ、大豆300キロを確保できるようになったことで安定生産や栽培面積拡大に繋げている。
就農当時は、水稲栽培をメインとしていたが、変化の激しい社会情勢を鑑みて、米は契約栽培に絞り、残りを麦大豆に転換するようになった。麦大豆は、連作障害があり、長期的に高品質な大豆を多く収穫するため、水稲を挟み2年3作体系としている。大豆の出来高を見て水稲栽培期間を長く設け、限られた農地で最大限の所得が得られるよう研究・工夫している。安田さんは、平成23年から大豆栽培を地区内でいち早く取り入れた。栽培当初は、連作や倒伏による品質低下が顕著で、品質および収量確保に相当な苦労をしたという。そこで、試行錯誤を重ねながらブロックローテーションの技術を導入して連作障害の発生を抑えることに成功した。また、摘芯栽培の実践により品質と収量の確保に成功。摘芯栽培は、大豆の成長点を刈り払い機で切除し、主茎が伸びるのを抑えることで側枝の成長を促進させる。背丈は通常よりも低くなるが、側枝の着莢数が増えるとともに倒れにくくなる。この技術は、7月下旬~8月上旬の開花期前に行うため肉体的に相当な負荷を要するもので安田さんは「なるべくはやりたくはないが、この作業により品質と収量が担保される」と手応えを感じている。
また、安田さんは第51回全国豆類経営改善共励会(JA全中・JA新聞連主催)の大豆家族経営の部において最高位の農林水産大臣賞を受賞した。開花期前にすべての圃場で“摘芯”を行い倒伏防止と収量向上に努め、2022年産の10a当たりの収量は全国平均の約2倍にあたる339キロを達成したことが認められた。
受賞を受けて安田さんは「純粋に嬉しい。これも一つ一つの課題を一緒に考えてくれた各関係機関と先輩農家の皆様のおかげだと思う。これからも情報を集め、現状に満足することなく良質な大豆を作り続けたい」とし、今後は「圃場整備を実現し、地域の農地を永続的に守っていけるよう自らの責務を果たしていきたい」と意気込んだ。

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