交信かく乱剤普及に向けて コナガ発生対策

JA佐久浅間
ロープ状の交信かく乱剤を設置する担当者
ロープ状の交信かく乱剤を設置する担当者

佐久農業農村支援センターやJA全農長野、JA佐久浅間などでつくる佐久園芸生産振興協議会は、国のみどりの食料システム戦略緊急対策交付金を活用したグリーンな栽培体系への転換サポートに取り組んでいる。
主にキャベツやレタスなどを栽培している軽井沢町油井地区の13ヘクタールの農用地を囲むニホンジカ侵入防止柵を活用して交信かく乱剤を設置。コナガなどの害虫発生密度を低減し、発生消長に応じた適期防除による化学合成農薬の使用回数の削減や環境負荷軽減、作業省力化、コスト低減に向けた技術実証に取り組む。
コナガは、アブラナ科の野菜を好んで食害し、殺虫剤抵抗性を発達させやすく、生産現場では収穫量や品質の低下が問題となっている。交信かく乱剤は、コナガの雄が雌を探す際に頼りにする性フェロモンに酷似した物質で、雄に雌の居場所を分からなくすることで繁殖を阻害する仕組みだ。
同地区では2018年に交信かく乱剤の試験を実施し、一定の効果を確認したものの、設置にかかる費用や労力が課題となっていた。今回の実証試験で農薬散布回数の削減や交信かく乱剤の使用量の調整などを行い、普及に向けた検証を進めていく。
5月2日、同地区の圃場で開いたキックオフ会議及び実証圃の設置には、関係者ら28人が参加。事業概要と今後の計画、交信かく乱剤の特長や設置方法を確認し、設置した。
JAあさま東部営農センター軽井沢事務所の土屋博忠営農技術員は「交信かく乱剤と農薬散布を併用した防除体系を確立して、農薬費の削減や散布労力の省力化を図り、農産物の安定生産につなげたい」と話している。

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