生産コスト上昇の現状/できることで今を乗り切る

JA上伊那
花の様子を確認する酒井さん
花の様子を確認する酒井さん

現在、農業資材や肥料、飼料、電気代、燃油代にいたるまで、農畜産物の生産コストが上昇している。JA上伊那が生産量日本一を誇るアルストロメリアに関しては通年で出荷のため、冬場は暖房器具を使用することによる電気代と燃油代が費用の大きなウエイトを占める。生産者は変動する価格によって暖房器具を使い分けるなど費用削減に努める。
伊那市東春近の酒井弘道さんは計76aのハウスで11品種のアルストロメリアを栽培する花卉農家。同JA花卉部会の部会長を務めている。酒井さんのハウスでは電気を使う暖房器具「ヒートポンプ」と燃油を使う暖房器具の両方を使用している。一番の削減は設定温度を下げることだが、生育に遅れが生じたり、品質に悪影響を及ぼす。そのため、高騰が続く現在は、変動する価格を見ながら暖房器具を使い分けるほか、被覆材を増やして保温効果を高めるなど、できることを実践している。
酒井さんは「生産コストが上がったからと言って販売価格に転嫁できないのが農業のもどかしいところ。しかし、長年築いてきたアルストロメリアの産地として信用を落とすわけにもいかない。できることで今を乗り切る」と決意を話す。
上伊那のアルストロメリアは3月~5月にかけて最盛期を迎える。3月には需要期である彼岸を控えているため、生産者はコスト削減に取り組みながらも品質、数量にもこだわりながら栽培を続けている。

MENU