JA信州諏訪すわこ営農センターは2022年度、諏訪市でタマネギの減肥試験に取組んでいる。従来通り化学肥料を施用した畝と、化学肥料の代わりに豚ぷん堆肥を施用した畝で、収穫量・品質を比較調査する。同センター小林聖一所長ほか職員が生育状況を分析して結果をまとめ、肥料価格高騰下でのコスト抑制・高品質な農作物栽培につながる土づくりの方法を組合員に提案したい考えだ。
豚ぷん堆肥は、同市の養豚農家から集めた豚の糞尿をおが屑やもみ殻と混ぜ、発酵させた完熟堆肥。同センター有賀堆肥舎で長年管理し、組合員から注文を受付け、販売している。
試験は、組合員から借り受けたほ場約4アールで、長さ11メートルの畝を3通り設けて行っている。まず昨年9月中旬に、ほ場全体に豚ぷん堆肥約80キロ、炭酸苦土石灰、過リン酸石灰などを施用。その後、(1)の畝には従来通り化学肥料1.3キロを施用。(2)の畝には(1)の半量の化学肥料と豚ぷん堆肥12キロを施用。(3)の畝には豚ぷん堆肥24キロのみを施用した。
10月20日、黒マルチを敷き、畝1通りあたり400本の苗を定植。品種は、収穫後の保存性が高く、組合員から人気の高い「ネオアース」を選んだ。
同センターによると1月12日現在、すべての畝で15~20センチほどの長さの茎が根付いた株がある状態。比較すると「化学肥料と豚ぷん堆肥を混ぜた(2)の畝が、見た目で最も株の根付き具合がよく、順調に生育している」とのこと。今後も追肥など栽培管理を続け、6月頃の収穫時に収穫量・品質を調査。JA営農部が12月に開く営農指導員による「1人1研究成績発表会」で試験結果を報告する。
同センターの北澤慎悟営農指導員は、小林所長から指導を受け、初めて試験に取組んでおり、「肥料が値上がりし、農業が続けられないという声を聴き、生産現場は大変厳しい状況と感じている。この試験が一助となれるよう、調査・分析をしっかりと行い、農業所得増大につなげたい」と気を引き締めている。
JAは国の「みどりの食料システム戦略」に沿って、環境負荷軽減やコスト軽減を行う「環境調和型農業」への取組みを推進しており、タマネギの減肥試験はその一環。2023年度も、野菜・花き多数の品目で減肥試験を計画している。