「シナノスイート」スタート 糖度選別導入で価格競争力強化に期待

JAあづみ
目視で傷の有無等を確認する選果スタッフ
目視で傷の有無等を確認する選果スタッフ

県内有数のリンゴ産地、安曇野でリンゴの出荷が本格化している。JAあづみは3日、安曇野市三郷温のJA果実中央選果所でリンゴ中生種の主力「シナノスイート」を初出荷した。
JA営農経済事業部果実課によると、着色期に寒暖差が少なく色づきが遅れたものの、生育期の好天に恵まれ食味は良好とのこと。
2022年産の出荷計画は12万1300ケース(1ケース=10キロ)。「シナノゴールド」や「名月」など中生種合計で22万9287ケース(同)の出荷を目指している。出荷ピークは10月10日頃で10月20日頃まで続く。11月1日からはリンゴの王様、晩生種の「サンふじ」の出荷が始まる。
この日までに集荷していた12トンを選果スタッフが果実のキズや日焼けなどを目視で確認。選果機のセンサーで熟度や糖度、大きさを判定し、4等級に分けて箱詰めした。選果した1,457ケース(1ケース=10キロ)を首都圏、中京、関西、広島や県内市場に出荷した。
22年度から新たに糖度選別を導入。10月は競合産地・品目が出揃い販売環境が厳しくなることから、他産地の製品と差別化を図るため「優」以上の等級は糖度14度以上として出荷し、価格の競争力強化を狙う。
JAあづみりんご部会の西牧幸則部会長は「シナノスイートは残暑が残るこの時期でもあう爽やかな甘みと食感がよいおいしいリンゴなので、多くの人に食べてもらいたい」と話した。
「シナノスイート」は、県果樹試験場が早生種「つがる」と晩生種「ふじ」を掛け合わせた育成品種で1993年に開発された。糖度が高く酸味が少ないのが特徴で、「シナノスイート」「シナノゴールド」「秋映」とともに県の「りんご3兄弟」として注目を集めている。果汁が多く甘味もあるため消費者に喜ばれ、市場の評価も高く価格も期待できる。
営農経済事業部果実課の中村洋一課長は「今年は着色が例年より遅れたが食味は上々の仕上がり。10月は厳しい販売環境だが市場と連携し、農家手取りの確保に努めたい」と意気込んだ。

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