摘果りんごが生まれ変わって地元の銘菓に

JAみなみ信州
摘果りんごの受け入れ
摘果りんごの受け入れ

りんごを栽培する過程で摘み取る果実“摘果りんご”を回収し活用する取り組みが今年も行われている。JAみなみ信州は29日、下伊那郡高森町の㈱マツザワと協力して地元農家の摘果りんごの受け入れを行った。本来は廃棄する摘果りんごが同社を代表する銘菓「りんご乙女」の製造用に買い取られ、農家の手取り増にもつながっている。
今年はおよそ40件の農家から38トンの受け入れを予定しており、この日は9軒の農家から374箱(1ケース10kg)の持ち込みがあった。今年も加工するのに比較的取り扱いやすく味も良い「ふじ」のみに品種を限定している。7月19日を初回に9月20日まで計19回の受け入れを行っていく。昨年からこれまでの56mm~72mmの規格より大きい摘果りんごも「大」として受け入れを始め、シードルやアップルパイなどの原料にする予定。農家にとっては受け入れの幅が広がりさらなる収入増となる。
摘果りんごの受け入れは10年ほど前から同JAと同社が協力して始めた取り組み。摘果りんごは「りんご乙女」の原料としてサイズや酸味が丁度良いという。同社では、JAと協力することで多くのりんごが集まり、さらに今年からは小麦粉も県内産に切り替え、できるかぎり地元産にこだわった商品を製造している。
松川町の子白渉(こしろ・わたる)さんは「本来は捨ててしまう摘果りんごをこうして原料として受け入れてもらえ、収入となるのでありがたい」と話し、この日は125ケースを持ち込んだ。
同社の森本康雄取締役は「新型コロナや世界情勢の影響で原料の確保が困難な中でも地元産にこだわり製造をしていくためには、地域に根差したJAとの連携が必要。これからもぜひ協力して美味しい商品を作っていきたい」と話した。
同社の「りんご乙女」は国際優秀味覚コンテスト(iTQi、ベルギー)で2009年から14年連続で最高位3つ星を受賞している。また環境に配慮して今年からトレーや包装を紙に変え、内容量はそのままでコンパクトにリニューアルしている。

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