定年退職後、本格的に始めた農業が生きがいに/下諏訪町の小口照文さん

JA信州諏訪
きゅうりの収穫に励む小口さん
きゅうりの収穫に励む小口さん

JA信州諏訪夢マーケット田中線直売部会の小口照文さん(74)は、地元下諏訪町で農産物出荷に励んでいる。管内の夢マーケット店とA・コープ店の直売コーナーへ、採れたての野菜や果実を出品。定年退職後、本格的に始めた農業に大きな喜びと生きがいを見出している。
小口さんは、諏訪市でりんご園を営む両親のもとに生まれ、60歳で地元企業を退職。それまで趣味だった農業に打ち込むことを選んだ。専門的な知識を養うため、JAや市町村が開く新規就農セミナーや八ヶ岳農業実践大学校の成人向けセミナーに参加。また、同部会の有志メンバーと「アスパラ研究会」を結成し、アスパラの栽培方法を研究した。JA理事や、町の農業委員、地元地区の農家組合長も歴任するなど、農業に熱心に向き合っている。
今年度は、4~5月にアスパラ、5月末からきゅうり、6月から梅を出品している。この3品目は、直売コーナーに毎日足を運ぶなかで自身が感じた「消費者ニーズが高い品目」で、栽培にかかる労働力も比較的少ないという。8月の盆過ぎには、トウモロコシやモロッコインゲンの出品が始まる予定だ。
管内で耕作放棄地が増えている現在、定年退職者が農業を始める意義を訴える。「自分が栽培したものを出荷し、地域の人に食べてもらうことはとてもうれしく、またおいしい農産物をつくれるよう頑張ろうという気持ちになる」と喜びを語る。
「定年後からでも全く遅くないので、ぜひ農業を始めてほしい。子どもたちは、そんな親の姿を見て感じる部分はきっとあると思う。次世代の農業を守り受け継ぐ存在が増えることを期待したい」と話す。
ほ場は、町内の旧甲州街道近くにあり、高台から諏訪湖を一望できる。「早朝、ほ場に来たら、諏訪湖を眺めながらラジオ体操をするのが日課。その後の農作業がたいへん気持ちいい」と笑顔を見せる。

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