JA信州諏訪営農部畜産課は6月8日から、管内の酪農・畜産農家から牛を預かり、美ヶ原牧場で放牧を始めた。ストレスがなく、心身ともに健康な牛を育てることと、農家の経費・労力の削減を目的に、毎年この時期に行っている。同月16日までに、64頭を預けた。
美ヶ原牧場は標高約1900メートルに位置している。山頂付近には300ヘクタール以上の草原が広がっており、県内を中心に300頭以上が放牧されている。
15日は、数メートル先が霞むほどの濃い霧が立ち込めるなか、乳牛6頭が牧場に到着した。1頭ずつ計測を行い、寄生虫を駆除する医薬品を背線部に塗布した後、職員らの呼びかけに応えてゆっくりと入牧。仲間同士で寄り添い合い、牧草を食べるなどしていた。多くの牛は10月上旬に下牧する予定。
今年はコロナ禍とロシアによるウクライナ侵攻の影響で、飼料価格が高騰している。美ヶ原牧場によると、経費削減を目的に、例年より早めに牛を入牧させる農家が多いという。
名取隆秀課長代理は「厳しい環境下で牛を育てる農家の役に立てるよう、今後も農家・牧場と連絡を密に取り合いながら牛を見守っていきたい」と話している。