JA上伊那と上伊那農政対策委員会の役職員ら3人は5月24日、伊那市役所を訪れ、「インボイス制度(適格請求書等保存方式)の影響緩和措置に関する要請書」と「水田活用直接支払交付金見直しに関する要請書」を白鳥孝市長に手渡した。
2023年10月に導入が予定されている「インボイス制度」は、売り手が買い手に正確な適用税率や消費税額を伝えるもの。農業者の大多数はインボイスを発行できない免税事業者であるため、施行後の取引で不利な条件を強いられることが懸念されている。
「水田活用直接支払交付金」では、2022年産から2026年産の5年間で一度も米を作付けしない農地を交付対象から外す方針が示されており、遊休荒廃地の増加につながると全国的にも問題視されている。
同JAは、「このまま制度の導入や方針の見直しが現実のものとなれば、上伊那地域でも麦・大豆・そばなどの生産面積の激減に始まり、地域農業を支える集落営農組織も大きな打撃を受ける。長年に渡り米の生産調整に協力してきた経過を踏まえ、要件緩和や新たな公的支援を設けるべきだ」と訴えている。また、5月には上伊那郡内の全市町村に要請書を提出、市町村議会にも陳情書を提出しており、原油高騰や農業資材価格の高騰で農家経営が苦しいなか、これ以上の負担増は地域農業の崩壊につながりかねないとし、農業と農村を守るための働きかけを続けていく。