陸ワサビ初収穫 栽培面積11倍 産地化目指す

JAあづみ
80cmほどに成長した陸ワサビを収穫する浅川さん
80cmほどに成長した陸ワサビを収穫する浅川さん

JAあづみは11日、地元安曇野市のワサビ加工品メーカー(株)マル井と連携して栽培している陸(おか)ワサビを初収穫した。
同JAと同社はおととしから実証栽培を始めた。昨秋から本格栽培に乗りだし、農家(法人含む)は昨年対比5軒増の8軒、栽培面積は11倍の33アールに拡大している。湧き水などで育てる「水ワサビ」とは異なり、畑に植えて育てるのが特徴。生産者の労力負担が少なく、生産コストを抑えられる利点を生かし、産地化を目指す。
この日は、同市穂高の浅川晃一さん(53)のビニールハウス2アールで収穫作業を行った。同社担当者が収穫方法や選別時の注意点などを説明。鎌を使って80センチほどに育ったワサビを根元から刈り取った。土を払い、黄変、病気部の葉などを除去して出荷コンテナに入れた。収穫したワサビは同社が全量買い取り、主に茎や根茎の部分は刺し身用の小袋やチューブタイプ製品の加工わさび原料へ、葉はお菓子向けの原料になるという。収穫作業は7月上旬まで続き、出荷数量は約30トンを予定している。
浅川さんは「初めての栽培だったが農閑期にハウスを有効活用できるうえ、ほかの品目に比べて手間や経費がかからないのが利点。花がいい値段で売れたのは予想外だった」と手ごたえを口にした。
全国的にワサビの生産量が減る中、同社にとっては、陸ワサビの生産量の拡大は地元産原料の安定調達につながる。同社の井口彰代表取締役社長は「増産体制を整え、農家やJAと協業で、安曇野から日本の食文化を世界に発信して行きたい」と意気込んだ。
生産面では、夏の高温期を避けて秋頃に苗を定植する。翌年5月中旬~7月上旬に収穫する超促成栽培で、農閑期を中心に栽培できる。栽培期間が短く、生産者の労力負担も少ない。寒さに強いワサビの特性を生かして冬場もハウス内は加温しないため栽培コストが抑えられるなどの利点がある。
今後、JA広報誌やJA営農指導員、栽培講習会などを通じて6月中に生産者を募集し、生産拡大を図るとともに生産者の所得増大に繋げていくとしている。
千國茂組合長は「大勢の生産者の挑戦をうれしく思う。陸ワサビをはじめとする安曇野の農産物や風土、文化を世界に発信する役割を担っていきたい」と意気込んだ。

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