ブドウ販売額82億円/出荷量減少も高単価維持

JAながの
農家からJA須坂共選所に持ち込まれた冷蔵貯蔵のシャインマスカット
農家からJA須坂共選所に持ち込まれた冷蔵貯蔵のシャインマスカット

JAながのは、2021年度のブドウ販売額が82億円に達し前年度額を確保した。天候不順の影響により出荷量が減少したものの、市場流通減少による高単価販売が通年図られたことや、昨年本格出荷を迎えた新品種「クイーンルージュ®」が市場から高評価を受け販売額を押し上げた。ブドウ全体の出荷量は92万ケース(1ケース5キロ換算)で昨年からは10万ケース程減少した。
21年度は4月下旬からハウス栽培の「シャインマスカット」の出荷を皮切りに、8月末からの「巨峰」や「ナガノパープル」などの露地ものは、6月の梅雨入り後と8月中旬の長雨に見舞われ、粒が割れる裂果や未成熟が散見され生育が安定しなかった。
シャインマスカットを中心に贈答用や高級果物専門店向けに、選抜した最上級品のブドウにJAながのオリジナル規格「特選」のタグを付けて差別化して販売した他、更なるブランド力と品質の向上による有利販売の実現をはかっている。また、朝出荷されたブドウを当日の新幹線で東京駅へ運び駅構内で販売する「新幹線マルシェ」が好評を得ている。
11月中旬以降は、貯蔵用の冷蔵庫を使ったシャインマスカットの長期販売を行っている。全国的に同品種の生産が増えている中で、市場流通が減る11、12月に販売できる長期貯蔵で、歳暮やクリスマス、年末年始の需要にも対応した。20年9月に開設した、JA農産物公式オンラインショップでの贈答用ブドウの販売が前年比1000万円増の3200万円に達し、リピーターや首都圏、中京圏の新たな個人顧客の利用拡大に結び付いている。
生産者の所得向上をめざし輸出にも積極的に取り組んでいるが、世界的なコロナ禍の中、輸送機能の停滞による減少で前年から2億円減の5億円だった。ただ、重点輸出先の香港や台湾では、JAながののブドウの品質評価が高いことから、高級店に並ぶ上位等級品をはじめ、近年は一般消費向けの中級品や洋菓子などに使われ需要は高く高止まりしている。

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