JA上伊那営農経済部は4月1日から3日の3日間、同JAの協同会社、株式会社JA菜園の圃場で定植用のアスパラガス苗を生産者に配布した。以前は1株100gの重さで配布していたものを一昨年から200~400gまで成長させ配布。今年は3万本を新規就農者や植え替えを行う生産者25名に配布した。
県内でも生産量の減少が続くアスパラガス。同JAでも昨年、県内生産量1位となるものの、約15年前の販売高5億5,000万円をピークに年々減少し、3億5,000万となっている。理由としては生産者の高齢化による引退、生産圃場の老朽化、雨による茎枯病の発生などが挙げられており、同JAは生産量の減少を食い止めるための取り組みを行っている。
今回の苗を大きく成長させ配布する取り組みもその1つ。苗を以前より大きくすることで、定植して収穫が安定するまでの期間が3年~4年から2年半に短縮できる。また、定植後7月ごろから最初の収穫ができ、新規就農者でも初年度から収益が上がることが期待される。
苗の生産に関しては(株)JA菜園に委託。昨年6月上旬に植え、現在の大きさまで管理した。
4月2日には神奈川県からのIターンで、新規就農者し飯島町でアスパラ農園「なつぞら」の経営を始めた工藤夏樹さん(39)は今年6,000株を定植するため、苗を注文。工藤さんは「定植から収穫できるまでのスパンが短いのは新規就農者としては非常にありがたいこと。雨に注意しながら圃場管理に努め、安定的に栽培していきたい」と意気込んだ。
同JAは今年から3年間で10万本の苗を生産予定。営農経済部中部営農センターの平澤智紀米穀・野菜指導員はアスパラガス生産に関して「苗生産の安定化をはじめ、省力的な作業方法の確立、収穫量をあげるための研究、レベルの高い生産者を育てることでの産地全体のレベルアップに努めていきたい」と話した。