営農技術員一人1研究発表、「見える化」で生産者と情報共有

JAながの
賞状を授与された丸山技術員
賞状を授与された丸山技術員

JAながのは長野市の本所で3月4日、「第二回営農技術員一人一研究大会」をリモートで開いた。最優秀賞には「きのこ害菌「見える化」によるえのきたけ黒腐細菌病菌対策」について研究したみゆき営農センター営農技術員の丸山一樹さんが選ばれた。研究内容は生産施設での同病菌の汚染個所を特定し、被害対策構築の一助とさせるのも。
同細菌病は主にエノキタケの子実体を侵し、芽出し以降に黒いアメ状の液体が菌床に発生して株元等を黒く腐らせる。菌は水滴やエアロゾルなどに付着して空中伝染し、防除のためには汚染場所を特定する事が重要とされている。今回の研究では、同細菌病が発生した栽培施設の出入口や生育室の床などの19箇所を(拭取り)調査し、2021年に県が世界で初めて開発した黒腐細菌病菌選択培地TSM-10で菌を検出し汚染個所を特定した。この検証結果をもとに、汚染個所の定期的な清掃、除菌を重ね再発の抑制に成功した。また、丸山さんは、病原菌被害による出荷量の減少率や所得減少値などを数値で「見える化」することで、生産者と(共同的に)問題解決をするための情報共有を図り、成果を振り返り、定着させる取り組みに繋げた。
丸山さんは「この選択培地の開発は生産者を守るうえで役割は大きい」とした上で、「この賞を励みとして更に研鑽し、生産者が安心して栽培活動が行えるようにオールながので営農指導を強化していきたい」と意気込んだ。
審査した小池宏明常務は「数値で「見える化」することは有効な手段。被害が看過されないよう今後も栽培構築に励んでほしい」と激励した。
この大会は、各ブロックから選抜された営農技術員5人が果樹やきのこ類など、品目ごとの栽培試験に基づき、効果が期待できる防除方法やコスト低減可能な栽培技術などを発表するもので、営農技術・指導向上の一環で昨年度から取り組んでいる。

最優秀賞以外の受賞者は次の通り。
▽優秀賞=荻原正輝「シナノリップの課題について」▽優良賞=金子貴之「トルコギキョウの立枯病予防の土壌還元消毒」、宮原仁美「ねずみ大根除草試験」、齊藤雅樹「りんご 反射資材が果実品質にもたらす影響」

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