伊那小学校4年文組豚出荷/悲しみを乗り越え食物の大切さを学ぶ/伊那市立伊那小学校4年文組

JA上伊那
最後を惜しみ豚と触れ合う児童
最後を惜しみ豚と触れ合う児童

伊那市立伊那小学校の4年文組39人は2月14日、総合的な学習の時間を活用して飼育していた豚を出荷した。出荷には児童や担任の川上達磨先生のほか、何人かの児童の父母も立ち合い、豚を見送った。
同クラスは給食の残食が多いことから、普段食べている食物の大切さを学ぼうと農家を訪問し栽培に対する思いなどを学習。話し合いを重ねる中で児童から「豚を飼って食べてみたい」との意見を参考に昨年9月27日に宮田村の養豚農家、ウエムラファームの植村英二さんの協力で出荷することを目的に飼育を始めた。飼育に関してはJA営農経済部畜産課の木嵜章夫係長の指導のもと、衛生面や防疫面、飼い方について学習した。
出荷までは児童が毎日当番で豚の世話を担当。教室内外には飼い方についてや部位について書かれた張り紙、毎日の様子を収めた写真、豚の似顔絵など、所せましと飾られ、豚のいる学校生活を送ってきた。出荷時期を過ぎても児童の多くが出荷をためらうなか、話し合いの中で「いつかは出荷しなければいけない。ならば、最後まで責任をもって見届けよう」、「せっかく出荷するならば、おいしく食べて体の一部にしたい」との声も上がり、当初の目的通り出荷を決意した。
当日は児童全員に畜産課から修了証を授与。全員が豚に触れ、協力して専用の軽トラックに誘導した。中には涙を流す児童もおり、4ヵ月半をともに過ごした豚との別れを惜しみながらも軽トラックを最後まで見送った。
児童は「悲しいけど、『ありがとう』の気持ちでいっぱい」と話し、川上先生も「飼育していくうちにクラスの一員という思いが強くなり、涙を流す子を見て改めて一生懸命育てていたのだなと実感した。同時に悲しい思いをさせてしまったことは考えるところもある」と言葉を詰まらせながら話した。
出荷された豚は当日に屠畜。21日に給食センターで調理され文組全員で食した。食物を育てることの大変さとありがたみを感じる貴重な授業となった。

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